日本製紙がつくる未来セルロースナノファイバーの開発

機能性セルロースナノファイバーを配合した
高い消臭機能を持つシートを開発、実用化しました。

セルロースナノファイバー(以下、CNF)は、植物繊維(パルプ)をナノレベルまで細かく解きほぐした超極細繊維です。軽量でありながら、弾性率は高強度繊維として知られるアラミド繊維並みに高く、温度変化に伴う伸縮はガラス並みに良好、酸素などのガスバリア性が高いなど、優れた特性を発現します。植物繊維由来のため、生産・廃棄における環境負荷が小さいことも特徴です。


2013年10月:
CNF実証生産設備を設置

岩国工場(山口県岩国市)にCNFの実証生産設備を設置、大量のサンプル製造と用途開発に取り組んでいます。パルプを化学的に前処理することでナノファイバーを取り出しやすくした設備で、年間生産能力は30トン以上、化学処理によるCNFを生産する本格的な実証生産設備としては、国内初となります。


2015年4月:
TEMPO触媒酸化処理したCNFを用いて、機能性シートを実用化

TEMPO触媒酸化法(※1)で化学処理したパルプを原料とするCNFを用いて、消臭、抗菌などの機能を有するシートの実用化に成功しました。本処理により、CNF表面に金属イオンや金属ナノ粒子を高密度に付着させることが容易となります(※2)。付着させる金属の種類を変えることで、さまざまな機能をシートに付与することが可能です。また、CNFは比表面積が大きく、少量の添加で効果的に機能を発現できるといった利点があります。


2015年10月:
世界初となる機能性CNFの実用化商品を販売開始

高い消臭機能を持つ機能性CNFシートを、日本製紙クレシア㈱の大人用紙おむつの新ブランド「肌ケア アクティ」シリーズに採用。世界初となる機能性CNFの実用化商品として、2015年10月1日から販売を開始しました。




今後、さらに技術開発に力を注ぎ、速やかな量産化技術の開発と、幅広い産業分野への用途開発を進めていきます。

※1)東京大学大学院農学生命科学研究科 磯貝 明教授らが開発した、TEMPO触媒によるセルロースの化学変性方法。パルプが解繊しやすく、均一な幅のナノファイバーを得られる。
※2)九州大学大学院農学研究院環境農学部門 北岡 卓也教授らが開発した、TEMPO触媒酸化法により化学処理させたセルロース表面に金属ナノ粒子を生成させる方法。