日本製紙グループについて社長メッセージ

豊かな暮らしと文化の発展に貢献


サステナビリティ経営の推進

当社グループは、2021年5月に「2030ビジョン」を公表し、2030年までの10年間で、『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業』として目指す姿を示しました。当社グループのビジネスモデルは、「持続可能な森林資源の循環」、「技術力で多種多様に利用する木質資源の循環」、「積極的な製品リサイクル」という『3つの循環』から成り立っています。再生可能な木質資源を、持続可能な形で利用しながらその用途を拡大していくことが循環型社会の構築につながるという素晴らしいビジネスモデルです。この『3つの循環』を大きく強固なものとすることにより、社会・環境の持続可能性と企業の成長を共に追求するサステナビリティ経営を推進していきます。

総合バイオマス企業としての事業展開

2030年に向けて、前半5年間(2021~25)の実行計画「中期経営計画2025」では、「事業構造転換の加速」を主要テーマに取り組んでいます。 日本製紙グループの祖業は紙・板紙事業であり、この分野では今後も着実に収益を上げていきます。成長エンジンと位置付けているのは生活関連事業です。紙パック事業、段ボール事業、ケミカル事業、家庭紙事業などから構成されます。国内で強い地位を築いている紙パック事業では、ノルウェーのElopak社との提携強化で、オーストラリアを始め、グローバルな事業展開を目指します。また、近年注力してきた開発力の強化も成果を挙げています。たとえば学校給食向けで採用が拡大しているストローレス牛乳パック「School POP®」は当社が先行して開発したストローレス紙パック製品であり、脱プラや環境教育に大きく貢献しています。段ボール事業では、オーストラリアで新工場を立ち上げるなど、成長に向けて着実に取り組んでいます。ケミカル事業では、2024年12月に初の欧州生産拠点としてハンガリー工場を立ち上げます。欧州のEV需要に対応し、リチウムイオン電池用の素材を生産します。家庭紙事業では、当社が業界に先駆けて発売した長持ちトイレットロールが好調で生産体制を強化しています。当社グループのクレシア春日㈱新富士工場の3号機が2023年8月に稼働を始め、2024年5月には日本製紙クレシア宮城工場も稼働開始を予定しています。また、長期的な視点から、当社が長年培ってきた研究開発力を基盤としたバイオマス新素材の早期事業化を目指しています。2021年に立ち上げたバイオマスマテリアル事業推進本部が中核となり、環境配慮型製品の新規市場開拓やオープンイノベーションによる用途拡大を強く推し進めています。

現在、我が国の経済は、新型コロナウィルス感染症が5類感染症へ移行し、社会経済活動の正常化が進むなど、緩やかに回復しています。先行きにつきましては、今後の原燃料価格の動向や、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念など、なお不透明な状況が続いています。
このような状況の中、中期経営計画2025の折り返しとなる2023年度は「事業構造転換の加速」を基本戦略に、「生活関連事業の収益力強化」「グラフィック用紙事業の競争力強化」「GHG排出量削減の加速」「財務体質の改善」を重要課題として取り組んでいきます。

私たちは、企業グループ理念「日本製紙グループは世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」を不変の行動指針として、「森林価値の最大化」と「バイオマス製品の拡大」を推し進め、循環型社会構築への寄与と事業成長の両立を実現していきます。




日本製紙株式会社
代表取締役社長
野沢 徹