2003年12月4日

信頼性の高い遺伝子組換え技術を開発
~遺伝子組換え作物に導入した遺伝子を自由に交換~

日本ユニパックホールディンググループ
日本製紙株式会社

日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(社長:三好孝彦)は、遺伝子組換え作物に一度導入した遺伝子を、自由に新しい遺伝子に交換するSDIシステム(注1)の開発に成功しました。
このSDIシステムは、染色体DNA上の安定した場所に、損傷なく一個の完全な遺伝子を導入できる信頼性の高い画期的な技術です。この成果については、12月11日、神戸で開催される分子生物学会での発表を予定しています。

近年、遺伝子組換え技術の進歩は目覚しく、新しい機能性を付与した組換え作物が続々とつくりだされています。植物への遺伝子の導入は、一般的には土壌細菌の一種であるアグロバクテリウムを用いて、遺伝子を付与した細菌を植物に感染させることにより行われます。植物の細胞に導入された遺伝子は、染色体DNAに組み込まれ次世代に伝達されます。しかしながら、この導入法では、染色体DNA上への遺伝子の挿入位置や挿入個数のコントロールが出来ず、多数の遺伝子や断片化した遺伝子が染色体DNA上の色々な場所に挿入されてしまいます。その結果、導入した遺伝子が不安定になって発現を停止したり、次世代への遺伝子の伝達が異常になるなどの問題が生じます。そのため、新しい組換え作物の育種には、多数の組換え系統を作成し、形質が安定して発現している系統をスクリーニングする必要があります。

現在では、組換え作物の経済的な利便性だけではなく、信頼性を高める遺伝子導入技術の開発がより重要になっています。
SDIシステムは、組換え作物の染色体DNA上に導入されている遺伝子を効率よく新しい遺伝子に交換することが可能な技術です。このシステムを利用すれば、染色体DNA上の同じ場所に新しい遺伝子を導入し、形質発現の安定した信頼性の高い組換え系統を、煩雑なスクリーニングを行わずに容易に得ることができます。

 

(注1)SDIシステム: Site Direct Integration の頭文字を取った造語。日本製紙の「遺伝子を指定した「部位」に「直接」「組換える」」ことの出来る技術システムの名称として使用。

 
以上