2003年12月11日

北山社有林で 『緑の循環』認証会議(SGEC)の森林認証 を取得へ
~日本独自の森林認証制度、第1号取得森林に~

日本ユニパックホールディンググループ
日本製紙株式会社

日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(社長:三好孝彦)は、北山社有林(静岡県富士宮市、面積670ヘクタール)において、わが国にふさわしい森林認証制度として、本年6月に創設された『緑の循環』認証会議(SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council)の森林認証を、年内に取得できる見込みとなりました。これは、本日(12月11日)、同認証制度の審査機関である「社団法人 日本林業技術協会(※1)」の森林認証判定委員会において、これまでに同協会が行った北山社有林の審査結果が審議に付され、森林認証の交付が妥当である旨SGECに報告されたことによるものです。

1992年にリオ・デ・ジャネイロで開かれた地球サミット以降、「持続可能な森林経営」の重要性がクローズアップされ、近年、それを推進・支援する仕組みとして「森林認証制度」が世界的に広まりつつあります。
日本独自の森林認証制度である『緑の循環』認証会議(SGEC)は、「日本の森林管理レベルを向上させ、豊かな自然環境と持続的な木材生産が両立する、健全な森林育成を保証する制度」を目指して、2003年6月3日に設立されました。森林認証の審査に際して要求される基準として、モントリオール・プロセスなど国際的な「持続可能な森林経営」に対する考えをもとに、日本独自の自然環境・社会慣習・文化を尊重してつくられた、7つの基準(※2)と35の指標が示されています。

北山社有林は、富士山の南西部に位置し、蓄積量は約14万立方メートル、静岡県内に当社が所有する森林のなかでも最大規模であり、樹齢40年以上のスギ・ヒノキを中心とした針葉樹の人工林が大半を占めています。傾斜が緩やかな富士山の麓に位置することから、効率良く、建築用材向けの良質な木材を永続的に生産・収穫することが可能な森林です。今回のSGEC森林認証取得は、北山社有林が、環境に配慮しながら、「持続可能な森林経営」の理念のもと、適切に管理されていることが評価されることになったものです。

日本製紙は、環境憲章(第3回改定:2003年8月19日)の行動指針において、2008年までに国内外全ての自社林で森林認証を取得することを目標に掲げました。
現在、海外の自社林では、環境マネジメント認証であるISO14001の取得に取り組んでおり、すでに南アフリカでは昨年7月、チリでは本年11月にISO14001の取得を完了しました。また、オーストラリアの各植林地でも取得は順調にすすんでおり、本年度末までに、伐採が始まっているすべての海外自社林でISO14001の取得が完了する見込みです。また、ラベリングにつながる森林認証についても、南アフリカではFSC(森林管理協議会)を取得していますが、当社は特定の森林認証制度にこだわらず、各地で最もふさわしいと判断する認証制度の取得をすすめていきます。
日本全国に約9万ヘクタールある国内社有林では、今回の北山社有林をスタートラインとして、すべての社有林を対象にSGEC森林認証の取得をすすめ、環境憲章の基本理念に掲げる「自然と調和する持続可能な企業活動」の実現を目指していきます。


参考

※1 社団法人 日本林業技術協会 (日林協)

  林業及びその関連技術に関係ある者の職能集団として、森林・林業に関する科学技術の振興・普及を通じて、文化と国民福祉の向上に寄与するという共通の理念の下に設立された公益法人。
現在、全国の大学・研究機関、官公庁などに92支部を置き、海外会員を含め約1万名の会員を擁し 、幅広い分野において積極的に活動を行っている。

※2 『緑の循環』認証会議(SGEC) 森林認証7つの基準

  基準1 認証対象森林の明示及びその管理方針の確定
対象森林の具体的内容(位置、所有・管理・権利、法的規制、林種別面積・材積など)が明確に示されており、また、所有者自らの管理基本方針に基づいて、当該森林についての施業計画が作成されている。
  基準2 生物多様性の保全
  生物多様性の保全計画は、ランドスケープレベルから代表的生態系タイプごとまでの管理計画が定められ、また、希少種、危急種、絶滅危惧種のほか、貴重な自然植生があればそれらが保護されている。
  基準3 土壌及び水資源の保全と維持
  土砂流出防止や水資源保全のために、森林の伐採・集運材や林道開設に当たって細心の注意が払われ、また、水系を化学物質による汚染から守る配慮がなされている。
  基準4 森林生態系の生産力及び健全性の維持
  伐採は、持続的森林経営の理念に基づき計画的に行われ、伐採方式は原則として非皆伐又は小面積皆伐がとられている。更新は施業履歴を参照しつつ適地適木の原則に基づき行われ、続いて適正な保育及び間伐が行われている。
山火事や病虫獣害の防止について普及指導を含む適切な対処がとられ、また、農薬など化学物質の使用に注意が払われている。
  基準5 持続的森林経営のための法的・制度的枠組
  関係する法律・条例等が順守されるとともに、地域社会の慣習的権利が尊重される。また、管理委託者や林業従事者に対しては、管理方針の理解を得るとともに、従業員に対して、生活、健康及び安全面での日常的配慮がなされている。
  基準6 社会・経済的便益の維持及び増進
  市民ができるだけ森林に接触する機会を提供することに努める一方、入林者に対する環境教育や安全対策にも努める。森林管理に当たって、景観、野外レクリエーションにも配慮がされ、文化的・歴史的に価値ある森林は保護されている。
また、認証森林の二酸化炭素吸収源としての機能を高めるとともに、認証森林からの林産物を消費者に適正に提供するために他と仕分けするよう努めかつ多用途に有効活用する。
  基準7 モニタリングと情報公開
  管理計画の見直しに役立てるため、森林の現況及び管理の状態を定期的にモニタリングし、その概要は原則公開とする。
対象森林について、施業記録のほか観察記録を極力残すとともに、自治体などによる広範囲の動植物モニタリングに協力態勢がある。

富士山のふもとに広がる日本製紙の北山社有林
富士山のふもとに広がる日本製紙の北山社有林

 
以上