2006年9月21日

国立遺伝学研究所の桜の保存に協力
~日本の桜の遺伝資源を後世に継承~

日本製紙株式会社

日本製紙(社長:中村雅知)は、独自に開発したバイオ技術「光独立栄養培養」(※1)を用いて、国立遺伝学研究所(静岡県三島市、所長:小原雄治 ※2)が保有する貴重な桜の後継木育成に着手しました。来年の春にはそれらの苗木を国立遺伝学研究所に里帰りさせることができる見込みです。

国立遺伝学研究所には、ソメイヨシノの起源を研究したことで知られる故・竹中 要博士(元・同研究所細胞遺伝部長)が、全国から収集した桜が260品種以上植えられています。また、有名な神社仏閣に由来する桜や花の色が珍しい桜などがコレクションされ、日本の桜の貴重な遺伝資源となっています。しかし、竹中博士が亡くなられてから久しく、現在同研究所に桜の研究者がいないこともあって、現状では、これらの桜の中には衰弱したり、枯れるなどして失われたりしたものもあります。
 
そこで、同研究所が保有する貴重な桜を後世に伝えていくために、当社の「光独立栄養培養」の技術を用いて、後継木の育成に尽力することにしました。当社は、これまでにも苗木を作ることが難しいとされていた樹木を、挿し木で比較的簡単に発根させることに成功しています。すでに歴史的に由緒ある桜や絶滅危惧種に指定された植物などの後継木を育成してきた実績があり、今回の後継木づくりはもちろん、今後も当社の独自技術を活用して貴重な植物を後世に引き継ぎ、社会に貢献していきます。

※1 光独立栄養培養
組織培養でエネルギー源となる糖の替わりに高濃度の二酸化炭素と水と光を施用することで、植物自身が持つ光合成能力を引き出す培養方法。
※2 国立遺伝学研究所 http://www.nig.ac.jp/
1949年創設。遺伝学の基礎とその応用に関する総合的研究を行い、学術研究の発展に資することを目的として設置された大学共同利用機関。全国の研究者のために共同研究の機会を提供するなど、現在35の研究グループがある。

「手弱女(タオヤメ)」原木は京都平野神社に古くからあった名桜 「来迎寺菊桜(ライコウジキクザクラ)」原木は石川県鳳至郡穴水町、来迎寺境内にある。穴水城主、長谷部新連が1000余年前に植えたものと言われる。
「手弱女(タオヤメ)」
原木は京都平野神社に古くからあった名桜
「来迎寺菊桜(ライコウジキクザクラ)」
原木は石川県鳳至郡穴水町、来迎寺境内にある。穴水城主、長谷部新連が1000余年前に植えたものと言われる。

「市原虎の尾(イチハラトラノオ)」京都洛北の市原にあって、花の咲く様が虎の尾に似る。大谷光瑞師がこの名をつけた。
 
「市原虎の尾(イチハラトラノオ)」
京都洛北の市原にあって、花の咲く様が虎の尾に似る。大谷光瑞師がこの名をつけた。
 

 
以上