1998年10月29日

技術開発2件に関し特許出願

大昭和製紙株式会社

当社は、2件の技術開発に成功し特許出願しました。
 
1. 連続蒸解釜のスケール除去方法
2. マルチフェンチェル浸水伸度計
 
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連続蒸解釜のスケール除去方法
大昭和製紙(株)本社工場では、パルプ製造設備である連続蒸解釜の抽出ストレーナの配管に新たな循環系統を設け、スケール除去剤を高濃度で循環させスケールを完全除去し、定期休転以外でのスケール除去作業をゼロにする技術を開発し特許を出願しました。
この新技術によりスケール除去にかかるコストを約70%削減しました当社には、岩沼工場、白老工場にも同様の連続蒸解釜があり、この新しいスケール除去技術の応用を進めています。
 
連続蒸解釜には蒸解ゾーンと洗浄ゾーンの境界部に蒸解液を引抜くための抽出ストレーナがあります。 抽出ストレーナは長期間操業の間に木材中のカルシウム分が沈着し徐々にストレーナの目が詰まってきます。 従来は操業中に目詰まりがひどくなると、パルプ品質の低下や操業困難な状況に陥ることがあるため、やむなく生産ペースを下げてスケール除去剤を添加し目詰まりを防いでいました。色々な試行錯誤の末、最終的に連釜操業のタブーに挑戦し、画期的ともいえるこの新技術を完成させました。
 
* 連続蒸解釜は原料の木材チップを連続的に蒸解し、パルプを製造する設備です。
連続蒸解釜は高さ約50mのタワー状の設備で、塔頂部から木材チップと蒸解液を供給し、連続的に下降しながら順次、浸透、加熱、蒸解、洗浄の各ゾーンを経て、5~6時間かけて処理し未晒しパルプを得る装置です。
 
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マルチフェンチェル浸水伸度計
大昭和製紙株式会社生産技術本部中央研究所では、紙の浸水時の挙動変化を測定する新規な測定装置(マルチフェンチェル浸水伸度計)を開発し特許出願しました。
この装置はシステム設計およびソフト開発を大昭和製紙中央研究所が行い、計測部本体の製作を(株)エイペックスが担当し完成しました。
装置を共同開発した(株)エイペックスが、大昭和製紙のライセンス許諾を得て、製造・販売を開始しました。
 
この装置は、横置きにした複数(4~6)の紙サンプルを同時に浸水させ、縦・横・対角方向の紙の伸縮をセンサーで捉え、パソコンで自動計算し多面的なデータ解析を可能にしたものです。例えば1回の測定で、紙の縦・横の浸水伸度、繊維配向性、カールサイズ度などが測定できます。また、ユーザーの希望に合わせて自由に解析方法を追加変更できる柔軟性を持たせてあるので、紙以外のシートにも応用可能であり、さらにアタッチメントを使用することにより、湿度変化による伸縮や、荷重が掛かった状態での紙の挙動変化の測定なども可能です。
 
従来品との比較
 
原形のフェンチェル伸縮度試験器は縦形で寸法的にも大きく、1回に1本のサンプルしか測定できず測定値はダイヤルゲージを読取る方式で作業性も良くありませんでした。これに対して本装置はサンプル測定棹を横置きにし最小ピッチで並列配置したため、非常にコンパクトなサイズに仕上がり、小型の環境試験器にも収容可能になりました。さらに、独自のデータ解析方法を採用しユーザーフレンドリーな、バラエティーに富んだ解析結果を得ることができます。
 
同装置の販売価格は 250万円です。
 
株式会社エイペックス
所在地 静岡県富士市大渕4527-6(富士グリーン工業団地)
資本金 1,600万円
代表取締役社長 加藤邦雄

 
以上