1999年6月29日

東北製紙秋田工場で ECFパルプ製造を決定

日本製紙株式会社

当社は、関連会社の東北製紙株式会社秋田工場(注1)で、塩素を使用しないECFパルプの製造を行うことを決定した。

クラフトパルプ(KP)は、原料である木材チップを苛性ソーダで煮て(=蒸解)木材中の繊維を取り出し、次にその繊維を漂白薬品でさらす方法で生産する。漂白薬品には塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、酸素などが使われるが、近年欧米を中心に、塩素(Cl2)を使わないで漂白する方法(ECF(Elementary chlorine Free)法)が普及し始めている。

今回の計画では、同工場のKP製造設備の1系列(日産650t)で、従来漂白工程の第一段階で使用していた塩素を、全量二酸化塩素で代替する。このため使用が増える二酸化塩素について、プラントの製液能力を増強する。
この結果、ダイオキシン発生量の指標である「AOX」は0.4~0.5kg/パルプt程度と、従来に比べ半減できる見込みである(注2)。

当社グループでは、すでに日本製紙釧路工場で針葉樹パルプ 363t/日、日本製紙旭川工場で針葉樹パルプ 100t/日のECFパルプ設備が稼働している。今回の設備はこれらに次いで3番目、他社も含めた日本国内では4番目のものとなるが、今後当社主力工場(石巻、岩国)をはじめとして各設備のECF化をはかり、将来の無塩素漂白をめざしていく。

工事の概要は次の通りである。

1. 工事概要
1)二酸化塩素プラント能力増強 4.5→6t/日
2)二酸化塩素塔 容量アップ改造工事
2. 工期
平成11年10月着工。平成12年4月完成。
(注1) 東北製紙株式会社
当社全額出資の子会社。洋紙140千t・板紙300千t(1998年実績)を生産しており、洋紙については全量当社が仕入れ、販売している。
(注2) 塩素とダイオキシン
漂白に塩素を大量使用するとダイオキシンを発生させ るおそれがあるため、日本製紙連合会では、AOX(ダイオキシン発生の指標)を1.5kg/パルプt以内に抑える自主基準を決めている。このレベルですでにダイオキシンは発生しないと考えられており、当社の従来設備はすべて基準内を達成しているが、今後のECF化で、さらにAOXの低減を目指す。

 
以上