1999年7月22日

米国向け感熱紙訴訟で、日本製紙の無罪申し立てが認められる

日本製紙株式会社

マサチューセッツ連邦地裁(米国マサチューセッツ州)は、現地時間の7月16日、当社を被告人とする米国向け感熱紙価格の共謀を根拠とした米国反トラスト法違反事件について、当社の無罪申し立てを認めました。
当社は、従来より、米国司法省が起訴状で主張しているような米国向け感熱紙価格設定につき共謀を行ったことはないと主張してきました。昨年6月から7月にかけて同連邦地裁で行われた事実審において、陪審員の判断が分かれ、評決不能に至りました。
その後昨年8月、当社は米国の刑事訴訟規則に基づき、同連邦地裁に無罪の申し立てを行いましたが、今般、同連邦地裁は当社の申し立てを認めるに至った次第です。
当社は同連邦地裁の結論に満足しております。
今後、米国司法省がどのような対応をするかは不明ですが、一年にわたる熟考の末の連邦地裁の結論を米国司法省が尊重し、裁判を終結させることを希求いたします。

1.訴訟の経過

1995年 12 米国司法省(DOJ)は、当社を「1990年2月、3月に日本で行われた米国向けフアクシミリ用感熱紙の価格引上げ謀議などに、当社が参加し価格協定をした」として、米国反トラスト法違反容疑でマサチューセッツ連邦地裁に起訴。
1996年 9 同連邦地裁、DOJの訴えを却下。
当社が主張した「米国反トラスト法の域外適用」の不当性について当社の主張が認められた。
DOJ、第一巡回区控訴裁判所に控訴。
1997年 3 第一巡回区控訴裁判所、DOJの主張を認め、第一審判決を破棄し、域外適用を認める決定をした。
1997年 6 当社、連邦最高裁に上告受理の申立。
1998年 1 連邦最高裁、上告受理を拒否。
  同年 6 4 第一審(マサチューセッツ連邦地裁)で事実審開始。
  同年 7 13 陪審員の評決に至らず「評決不能(hung jury)」となる。
  同年 8 3 当社は、米国刑事訴訟規則29条に基づき「無罪の申し立て」を提出。
 1999年 7 16 連邦地裁は当社の無罪の申し立てを認容。

2.裁判所の判断

裁判所は、DOJ側に価格共謀につき下記3項目につき立証を求めた。

a、 起訴状にある価格共謀が実際に行われたかどうか
b、 当社が価格共謀に参加したかどうか
c、 米国市場に実質的・具体的な影響を与えたかどうか

しかし、この3項目のいずれについても、DOJが証明を行うことができなかったとして、判事は、当社の無罪の申し立てを認めた。

 
以上