ニュースリリース高機能茶「サンルージュ」苗木生産拠点を鹿児島県天城町(徳之島)に新設次世代高機能性食品市場をけん引する期待の新品種を増産

株式会社日本製紙グループ本社

株式会社日本製紙グループ本社(社長 芳賀義雄)は、次世代の高機能茶「サンルージュ(注1)」の苗木増産を目的として、鹿児島県の徳之島にある天城町農業センター内に挿し木苗生産拠点を新設します。また、6月1日付で本事業を進める企画本部アグリ事業推進室内に「徳之島分室」を設置し、生産拠点の稼働を開始します。

当社は、植林技術の研究開発の中から培った挿し木苗増殖技術である「光独立栄養培養技術(注2)」を用いて、挿し木苗事業を推進しアグリ事業の拡大を図ってきました。これまで、桜やフラワーアレンジメント用ユーカリなどの園芸作物や茶の苗木の生産販売を行ってきましたが、特に「サンルージュ」をはじめとする茶の苗木は大変好評を得ています。
また、「サンルージュ」は苗の生産が難しいとされていますが、当社は2008年から短期大量生産技術の研究を積み重ね、効率的、安定的な苗の生産法を確立することができたことから、全国の茶生産事業者からの問い合わせも増加しています。
従来は、当社の小松島分室(徳島県)で「サンルージュ」の挿し木苗を生産してきましたが、増産体制の早期確立を進め、このたび、サンルージュ栽培に適した温暖な気候の鹿児島県天城町における「天城町農業ビジョン」(注3)を受けて、挿し木苗生産拠点を新設することにいたしました。これにより、「サンルージュ」の苗木の安定供給体制を整え、商業栽培面積の拡大を進めていくことが可能となります。

当社グループは「木」の持つ可能性を追求し、木材を総合的に利用する事業を幅広く展開しております。その中でも、アグリ事業は当社グループの事業領域の裾野を広げる事業であると位置付けております。「サンルージュ」事業は、今後アグリ事業をけん引する柱として、苗木生産にとどまらず、茶の新しい需要創出に向けて、「サンルージュ」の機能性を生かしたサプリメント・食品・飲料などに向けた素材開発についても積極的に取り組んでまいります。

  1. 注1サンルージュ
    当社の独自技術「光独立栄養培養技術」を用いて、農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所と共同で育成した新しい茶品種で、一般の茶に含まれるカテキン類等と植物由来機能性成分「アントシアニン」の相乗効果による抗疲労・ストレス作用の効能が得られる、「次世代の高機能茶」として新しい茶の需要創出が期待されています。緑の日本茶とは違い、赤い色素であるアントシアニンをたくさん含むことから、赤みを帯びた茶葉が特長です。生研センター「イノベーション創出基礎的研究推進事業(発展型)」(2008年度から2010年度)により、ヒト試験が実施され眼精疲労に対して改善効果を有することが報告されています。
  2. 注2光独立栄養培養技術
    組織培養でエネルギー源となる糖の替わりに高濃度の二酸化炭素と水と光を施用することで、植物自身が持つ光合成能力を引き出す培養方法。この技術は、苗の生産が難しいとされていた「無花粉スギ」の大量生産技術の確立に貢献したほか、小笠原諸島の希少な固有種で絶滅危惧種に分類された植物や歴史的価値のある桜の名木の保存に活用されるなど、日本製紙グループが取り組む生物多様性保全の活動にも生かされています。
  3. 注3天城町農業ビジョン
    天城町では、農業の振興のために「天城町農業ビジョン」を策定した。ビジョンに基づき、さとうきびや畜産、果樹園芸の振興を図るほか、「サンルージュ」などによる複合経営を推進し、平成26年度には農業生産額45億円を目指している。

以上