ニュースリリース木質バイオマスを高配合した新しい樹脂複合材料を開発~減プラスチックと温室効果ガス排出量削減~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)は、株式会社日本製鋼所(代表取締役社長:宮内直孝、以下「日本製鋼所」)と共同で、木材を原料とする木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料(トレファイドバイオコンポジット)を開発しました。この新規複合材料はプラスチック使用量を5割以上削減することができるとともに、温室効果ガス排出量の削減にも寄与します。


木粉やパルプといった木質バイオマスと樹脂との複合材料において、従来の製品は耐熱性や成形性に課題がありました。今回開発したトレファイドバイオコンポジットは、当社が培ってきた新規バイオマス固形燃料のトレファクション技術(注1)を活用し、木質バイオマスに耐熱性、粉砕性、疎水性を付与することに特徴があります。このサステナブルな木質バイオマス材料を、日本製鋼所製の二軸押出機(TEXシリーズ)の混練技術を用いて樹脂に高配合することで、従来よりも耐熱性や成形性に優れた新しいトレファイドバイオコンポジットを生み出しました。


今後は、建材、家電製品、園芸など、様々な分野での用途開発により、トレファイドバイオコンポジットの商品化を進めてまいります。


なお、この新規トレファイドバイオコンポジットは、本年2月24日(水)~26日(金)に東京ビッグサイトで開催される「TOKYO PACK 2021」の当社ブースに展示致します。当社のセルロースパウダーと樹脂を複合化した、セルロースバイオコンポジットも併せて展示致しますので、ぜひ直接実物に触れる機会として足をお運びください。


当社は、「木とともに未来を拓く」をスローガンに掲げ、これからも、人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献してまいります。


注1 トレファクション

樹脂の融点よりも高温の250~300℃で木質バイオマスを低温炭化させる技術です。低温炭化により木質バイオマスの耐熱性が向上し、樹脂との混練や成形の際にバイオマスから発生する熱分解ガスを抑制することができます。また、粉砕性に優れているため微粉化が容易となり、トレファイドバイオコンポジットの流動性が向上するため、複雑な加工が可能になります。加えて、疎水性が付与されることで樹脂中のバイオマスが良好に分散し、トレファイドバイオコンポジットが高強度になります。

https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2013/news130403000773.html 

https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2016/news160427003372.html 


注2 セルロースパウダー 

高度に精製した天然木材セルロースを独自の方法で微細化した粉末です。食品、健康食品、化粧品から、濾過助材、樹脂充填材など幅広い分野で利用されています。緩やかな生分解性も有する、環境に配慮した素材です。

https://www.nipponpapergroup.com/products/chemical/functional_cellulose/kcflock.html

■トレファイドバイオコンポジット: 開発品

 上: 園芸ポット射出成形品

 中: サラダボウル射出成形品

 下: トレファイドバイオコンポジットペレット





■セルロースバイオコンポジット: 開発品。当社のセルロースパウダー(注2)製造技術を応用

上: サラダボウル射出成形品

下: セルロースバイオコンポジットペレット