トップメッセージ

「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として
持続可能な社会の構築に貢献します

日本製紙株式会社
代表取締役社長
馬城 文雄

持続可能なビジネスモデルを成長させ、
社会から永続的に
必要とされる企業であり続けます

 日本製紙グループは、森林を持続的に育成・管理しながら、そのバイオマス資源を無駄なく有効に活用・リサイクルして多彩な事業を展開する、総合バイオマス企業です。
 木は生長過程で大気中のCO2を吸収・固定しています。森林は適切に育成管理することによって持続可能となります。そのため、木質資源の活用は地球温暖化の防止に役立ちますし、再生可能な木質資源を活用することで資源枯渇防止にも役立ちます。当社グループでは、国内社有林や海外植林地における持続的な森林経営を通じて、生態系や生物多様性を保全しています。
 当社グループは「木とともに未来を拓く」というスローガンを掲げ、こうした持続可能なビジネスモデルを通じ、お客さまのニーズに的確に応えていくことで、長期的に事業を成長させ、社会から永続的に必要とされる企業であり続けます。

洋紙事業の生産体制再編成、成長分野への
設備投資を行い、企業価値創造のための
事業ポートフォリオ改革を図ります

 私たちは、第5次中期経営計画(2015~2017年度)において「事業構造転換」をテーマに、既存事業の収益力強化と、成長分野の伸長・新規事業の戦力化に取り組みました。前者については、国内事業で想定を超える内需の落ち込みや原燃料価格高騰の影響を大きく受けたものの、後者については、概ね計画通りに施策を実行したことに加え、セルロースナノファイバー「セレンピア®」の実証生産設備・量産設備稼働、高いバリア機能を持たせた新包装素材「シールドプラス®」の販売開始、微粒子化した無機物と木材パルプを複合化する新しい機能性材料「ミネルパ®」の実証生産設備の設置決定など、新規事業への種まきも着実に進めています。
 2018年度からは第6次中期経営計画(2018~2020年度)がスタートしました。「洋紙事業の生産体制再編成と自社設備の最大活用」「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」をテーマに、各施策に取り組んでいきます。洋紙事業については、この3年間で計10台の抄紙機・塗工機を停止し、需給バランスの適正化を図ります。生産体制再編成を通じて洋紙事業の収益力を回復することが、第6次中期経営計画における最重要施策だと考えています。成長分野には3年間で1,070億円の投資を行い、さらなる事業拡大をスピーディーに進めます。外部環境が変化するなかでも安定した収益力を発揮できるよう、事業ポートフォリオを改革し、紙・板紙事業に依存しない収益構造を構築します。

人類の共通課題となった
持続可能な社会の実現と正面から向き合い、
さらにそれをビジネスチャンスにつなげ、
企業価値の向上を図ります。

 企業は社会の一員として、事業活動が環境や社会に及ぼす影響に対し責任を負っていると、私は考えます。
 従って、当社グループは、バリューチェーンにおいて経済・環境・社会に正と負の影響を与える可能性が高い領域を特定し、さらにステークホルダーの皆さまとの対話を通じて私たちへの期待や要請を把握した上で、この責任に適切に取り組むため、中期的な環境行動計画などに反映させています。
 また、当社は、国連グローバル・コンパクトに参加し、その「人権・労働・環境・腐敗防止」における10の原則を支持し、取り組んでいます。私は経営者として、企業が生き残っていくためには人類の共通課題となった持続可能な社会の実現と正面から向き合う必要があると認識しています。
 2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、木材・パルプのバイオマス素材を主原料とする当社グループの事業と親和性が高い世界的行動指針です。社会的課題をビジネスチャンスととらえ、SDGsへの貢献を目指します。例えば日本製紙(株)では、2018年8月に「紙化ソリューション推進室」を設立しました。"紙でできることは紙で。"を合言葉に、使い捨てプラスチック製品による海洋汚染問題など現代社会が直面する環境課題の解決に貢献する新製品の開発をこれまで以上に進めていきます。
 安全面については、健康と安全を第一とし、グループ会社だけではなく協力会社なども含め、「いかなる者にも工場敷地内で怪我をさせてはならない」という安全の大原則を肝に銘じて職場の安全確保を徹底します。

 本報告書では、総合バイオマス企業としての持続可能なビジネスモデルが社会の課題解決、持続的発展と密接に結びついていること、地域と共生していくために重要なこと、を中心に報告しています。
 今後もステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを続け、持続可能な社会の構築に貢献できるよう努めていきます。本報告書を是非ご一読いただき、率直なご意見をいただけると幸いです。

    ※SDGs(Sustainable Development Goals): 17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる行動指針。2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で150超の加盟国首脳によって採択されました

日本製紙株式会社
代表取締役社長