2000年2月4日

日本初のオゾン漂白パルプ製造を決定

日本製紙株式会社

当社は、オゾン漂白によるECFパルプ(塩素を使わないで漂白するパルプ)の製造を決定した。パルプ製造工程でのオゾン使用は、国内業界初である。

クラフトパルプ(KP)は、原料である木材チップを苛性ソーダで煮て(=蒸解)木材中の繊維を取り出し、次にその繊維を薬品で漂白する方法で生産する。漂白薬品には塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、酸素などが使用されるが、近年欧米を中心に、塩素(Cl2)を使わないで漂白するECF(Elementary Chlorine Free)法が普及しはじめている。
今回の計画は、

1 当社勇払工場のKP設備(日産520t)で、従来漂白工程の第一段階で使用していた塩素を、全量オゾンで代替する。
2 使用するオゾンの製造プラントを新設する。
オゾン発生能力は1基で120Kg/hとなり、日本最大の能力である。

この結果、ダイオキシン発生量の指標である「AOX」はほぼゼロとなり、現在国内で用いられている、塩素に代えて二酸化塩素を使用するECF法に比較しても、さらに環境負荷が軽減できる(注)
当社グループでは、すでに釧路工場で針葉樹パルプ 363t/日、旭川工場で針葉樹パルプ 100t/日のECFパルプ設備が稼働し、本年5月にはグループ会社である東北製紙株式会社秋田工場でECF化工事が完成する予定である(いずれも二酸化塩素によるECF)。今回の設備はこれらに次いで4番目で、今後当社他工場KP設備について、オゾン漂白導入の可能性を検討していく。

工事概要 1)オゾン発生プラント新設 120Kg/h
2)酸素発生設備新設    20t/日
3)オゾン漂白工程増強(漂白工程初段に増設)
工 期 2000(平成12)年2月着工
2000(平成12)年12月完成予定

(注)塩素とダイオキシン
漂白に塩素を大量使用するとダイオキシンを発生させるおそれがあるため、日本製紙連合会では、AOX(ダイオキシン発生の指標)を1.5kg/パルプt以内に抑える自主基準を決めている。このレベルですでにダイオキシンは発生しないと考えられており、当社の従来設備はすべて基準内を達成しているが、今後オゾン漂白導入を含むECF化で、さらにAOXの低減を目指す。

 
以上