2000年9月22日

オンライン表面繊維配向計、紙パルプ技術協会から佐々木賞を受賞

日本製紙株式会社

当社と横河電機(株)は、7月14日付で、紙パルプ技術協会から佐々木賞を受賞しました。この賞は、紙パルプ技術の研究開発により顕著な成果を収め、紙パルプ産業の進歩・発展に多大な貢献をした企業に与えられます。今回受賞したのは、「オンライン表面繊維配向計」の開発です。

「オンライン表面繊維配向計」は、操業中の抄紙機上で繊維配向(紙の繊維の並び方)を表裏ともに測定し、そのデータをフィードバックして操業を制御できる世界初のものです。半導体レーザー光を紙面に対して垂直に入射し、繊維の側面から反射する光の強度によって、繊維の向きなどを測ります。当社がこれまで取り組んできた繊維配向の研究や計測技術開発の集大成といえます。

繊維配向は、紙の特性を決定する重要な基本構造のひとつで、製品の力学的特性や寸法安定性に大きく影響します。従来はオフラインで測定していたため、その結果を見極めるまでに時間がかかり、また、表・裏別の繊維配向を抄造現場で知ることは不可能でした。
紙の品質にとって、印刷・加工工程での走行・作業性を向上させることは極めて重要なテーマです。繊維配向のオンライン測定は、多色印刷での印刷ズレ、コピー機・高速プリンターでの紙詰まり、輪転機での走行不良などの問題解決に威力を発揮します。例えばPPC用紙では、実際にコピー機を通さなくても抄造現場でその紙のカール特性を把握できるので、抄紙条件の設定時間を大幅に短縮し、高品質の紙を安定して製造することが可能となります。

当社のこの技術を用いて、さらに、横河電機(株)が、紙の厚さなどを抄紙機上で計測するBM計に搭載する「オンライン表面繊維配向計」を製品化し、このたびの佐々木賞受賞となりました。当社では、すでに小松島工場(コピー用紙)、釧路工場(新聞用紙)に導入しており、八代工場にも近く設置する予定です。今後、抄紙機の標準的計装設備のひとつになると考えられます。

これは、当社が開発した外付け用プロトタイプのもの。
横川電機(株)と共同で製品化した配向計は、より多くの抄紙機に適用できるように、既存のBM計に組み込めるようにしたもので、写真とは異なります。

 
以上