2001年10月12日

八代工場に炭酸カルシウム製造設備を新設

日本製紙株式会社

日本ユニパックホールディンググループの日本製紙は、八代工場に約13億円を投じて、中性紙を抄造するときに使用される填料である軽質炭酸カルシウム(以下略して「炭カル」)の製造設備を8月に完成させた。この自製炭カル設備の稼働により、八代工場で生産されるすべての洋紙を中性紙として抄紙することが可能となる。

この設備は、米国の白色顔料メーカーであるイメリス社との技術提携によるもので、平成10年に稼働した石巻工場に次いで当社としては2番目の自製炭カル製造設備となる。

現在、塗工紙や上級紙の多くは中性紙として抄造されているが、中質紙や新聞用紙はバンドを使用した酸性紙として抄造されるのが一般的となっている。

中性紙とは、バンド(硫酸バンド)を殆ど使用せず、填料として主に炭カルを配合する洋紙であり、

1)

保存性に優れている。

2)

品質が向上する(白色度や不透明性に優れている)。
3) 省資源化が可能となる。

といった利点を持つため、近年、酸性紙から中性紙への転換が世界的に進んでいる。

当社の八代工場では、当面、新聞用紙を除く洋紙に自製の炭カルを使用し、将来的には新聞用紙にも配合して、すべての製品を中性紙に転換することを目標としている。

中性紙には、特に古紙の有効利用や環境負荷の低減の面からメリットが期待される。 現在のところ、新聞古紙に含まれるチラシの多くは、塗工紙や上級紙であり、中性紙である。それらを含む新聞古紙を利用して新聞用紙を生産する場合、一旦アルカリ性で脱墨処理して古紙パルプ(DIP)を作り、それをわざわざ酸性に戻してから新聞用紙を抄造しているが、今後、自製炭カルの使用による製品の中性紙化を図っていくことにより、アルカリ性でできた古紙パルプをわざわざ酸性に戻して抄造することから生じるエネルギーロスや廃棄物を低減させていくことが可能となる。

当社では、先に稼働した石巻工場の自製炭カル設備の経験を生かして、設備においても一層の改善を実現しており、八代工場の新設備で生産される新しい炭カルは、同工場で抄造する紙の品質に適した粒径にコントロールされ、優れた性質を持つ。月産能力は約2,500トンで、8月から稼働し、今後徐々に生産量を上げていく予定である。

 
以上