2001年11月9日

2400dpiの画像が可能-光記録感熱紙 「IRサーマル」を開発

日本製紙株式会社
松下電送グラフィックプリンティング株式会社

日本ユニパックホールディンググループの日本製紙と松下電送グラフィックプリンティングは、共同で、光記録感熱紙「IRサーマル(Infrared Rays:赤外線)」の開発に成功し、松下電送グラフィックプリンティングより「UG-0803」として、一部販売を開始しました。この光感熱紙「UG-0803」は、日本製紙と松下電送グラフィックプリンティングとで初めて製品化に成功した商品です。

今回開発に成功した光記録感熱紙は、従来の感熱ヘッドから与えられる熱によってではなく、赤外線レーザーを照射することにより、記録が得られる用紙です。この用紙はレーザーを利用することによって非接触で記録することができ、従来の感熱紙の宿命であった記録ヘッドと用紙との摩擦による印字トラブル(いわゆるヘッド切れ)を完全に解消することができました。また、その印字性能においても、今まで不可能であった高精細な解像度と濃い印字を実現しました。特に解像度に関しては、感熱紙でありながらインクジェット方式をも上回る2400dpiの出力が可能となり、モノクロながら写真相当の出力が可能となりました。

このような特徴を有しながら、感熱紙のメリットである記録音の静かさや、インクやトナーの補充を必要としないメンテナンスフリーといった利点を損なっていないのが大きな特徴です。

日本製紙では、従来から光吸収材料の研究を行っており、光記録感熱紙、光追記型感熱紙を開発しましたが、単体レーザーによる記録では印字速度が遅く、製品化に至らなかった経緯がありました。しかし、松下電送グラフィックプリンティングが開発したマルチレーザーヘッドによりこの問題は解決され、光記録感熱紙の実用化に向けて共同で開発してまいりました。その結果松下電送グラフィックプリンティングのドライプロッター「GX-3700/3710」でその高度な性能を十分に発揮できるものとなりました。

松下電送グラフィックプリンティングでは新聞印刷用製版システム用フィルム出力機として、マルチレーザーヘッド採用のドライプロッターGX-3700シリーズを発売しております。従来、このドライプロッタ―ではドライフィルムを使用しておりましたが、今回の光感熱紙開発成功により、今後はフィルムのみならず印画紙イメージの光感熱紙「UG-0803」をも使用できる共用タイプの提供をオプションで開始いたします。

ドライプロッターは、写真の現像定着工程がないことから現像液の廃液がなく通常の明るいオフィス環境のまま使用できます。その性能に光記録感熱紙の媒体が加わったことによって、高速印字性、高解像度、作業性、コスト、環境面での優位性がさらに向上したシステムとなります。

今後の用途としては、新聞業界でのゲラプリンターや、印刷業界でのCTP(Computer to Plate)セッターの検版用記録材として、プリンターを追加することなく校正用の印字ができる等の展開を考えております。また、ハードの小型化、低価格化が進めば、印字の信頼性を必要とする分野などへ、その用途範囲は飛躍的に広がるものと考えられます。

なお、この光記録感熱紙の特許については、日本製紙が出願を済ませております。

 
以上