2003年8月7日

森林認証への取り組みについて

日本ユニパックホールディンググループ
日本製紙株式会社

日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(社長:三好孝彦)は、環境への取り組みのひとつとして、「森林認証制度」の活用を含む行動指針を策定しました。

20世紀後半から地球規模で深刻な問題となっている森林の減少や劣化、違法伐採等を解決するためには、企業自らが「持続可能な森林経営」を推進していくことが必要不可欠です。
当社は、これまで、環境憲章の行動指針冒頭に「森林資源の造成と保護」を掲げ、適切に管理されている森林からの原料調達のほか、自ら持続可能な森林資源を造成する目的で海外植林事業を推進してきました。
近年、世界各国・地域で、この「持続可能な森林経営」が適切に行われているか否かを第三者機関が評価する「森林認証制度」が創設・運用されるようになってきており、当社としても、「森林認証」を基軸とした行動指針を打ち出すことにより、よりいっそう環境との共生を重視した原料調達をすすめていきます。

■ 2008年までに、すべての国内外の自社林において森林認証(注)を取得
当社は、10万ヘクタール以上を目標とする海外植林事業「Tree Farm構想」を展開しています。まずは、海外の自社林において、環境パフォーマンスの継続的な改善を促す仕組みとして広く活用されているISO14001を取得し、持続可能な森林経営をめざす環境マネジメントシステムとして定着させていきます。すでに、南アフリカの自社林、およびオーストラリア自社林の一部ではISO14001を取得しており、チリの自社林においても今年末までに取得できる見込みです。
ラベリングにつながる森林認証については、日本ではFSC(森林管理協議会)がよく知られていますが、一方、ヨーロッパを中心に、国際的に合意が得られている基準と指標に基づき、各国が独自に確立した森林認証制度を相互に承認していく動きが主流になってきています。当社は特定の森林認証制度に固執せず、各地で最もふさわしいと考えられる制度を採用し、森林認証を取得していく考えです。
なお、国内社有林については、今年6月3日に発足した「緑の循環」認証会議(SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council)の取得を検討しています。

(注)森林認証制度については、参考資料をご参照ください。

■ 2008年までに、輸入広葉樹チップは「認証材+植林木」100%へ
日本製紙は、日本ユニパックホールディンググループ各社にチップ等の木質系原料を調達する機能を担う、グループ中核企業です。これまで、当社は、植林木の利用を進めるとともに、天然林についても、環境保全はもとより経済性・社会性を保って適切に管理されている森林からの調達を行ってきました。
今後は、自社林の森林認証取得を進めるとともに、原料調達においても森林認証をひとつの基軸とし、2008年までに、輸入広葉樹チップの全量を「森林認証取得森林」または「植林地」から生産されたチップにしていきます。



<参考資料> (認証面積については各ホームページより抜粋)

1. 世界の森林認証制度の動き
世界の森林認証制度は、森林経営を含む環境マネジメントのシステム認証として知られているISO14001を除くと、FSCとPEFCという2大勢力に集約される。
今までは、設立時期が早かったFSCが先行していたが、近年、PEFCが推進する「相互承認(各国独自の森林認証の相互保証)スキーム」が台頭してきている。この相互承認スキームの傘下には、ヨーロッパ、アメリカ、カナダのほか、2002年末にオーストラリア、チリ、ブラジル、マレーシア等が参加、さらにアフリカ諸国も傘下入りすることが見込まれており、全世界をカバーする森林認証の主流となりつつある。
相互承認スキーム傘下の認証面積の単純合計は、すでに1億ヘクタールを越えている。

2. 世界の主な森林認証制度
(1)FSC(Forest Stewardship Council)
1993年、WWFを中心に発足。世界的規模で森林認証を実施。10の原則と56の基準を遵守することが認証条件。森林認証のほか、生産・加工・流通管理の認証(CoC:Chain of Custody)を持ち、ラベリングを行う。認証面積は3,687万ヘクタール(2003年4月29日現在)。

(2)PEFC(Pan European Forest Certification)
ISO14001、FSC等の森林認証制度創立の動きを鑑み、ヨーロッパ14カ国の民間団体により、1999年に発足。ヘルシンキプロセス(※1)の基準と指標に基づきヨーロッパ各国独自の認証基準を認定、互換性・同等性を保証する。FSCと同様、CoC認証によるラベリング制度を持つ。認証面積は4,816万ヘクタール(2003年6月30日現在)。

(3)SFI(Sustainable Forestry Initiative)
AF&PA(American Forest and Paper Association)が、1994年、持続可能な森林管理実現のための原則と目標を策定し会員企業に実施を要求。1999年、第三者機関による審査を行うことを決定した。PEFCとの相互承認スキームに参画しており、認証面積は、同じく相互承認が合意されている全米森林協会が推進する米国で最も歴史のある森林管理認証制度(AFTS/American Tree Farm System)を含めて合計3,870万ヘクタール(2002年12月現在)。

(4)CSA(Canadian Standards Association)
1996年、ISO14001と持続可能な森林経営の基準と指標(Canadian Council of Forest Ministers/モントリオールプロセス(※2)のカナダ版)から、独自の認証規格を開発。PEFCとの相互承認スキームに参画しており、認証面積は1,440万ヘクタール(2002年12月現在)。

(5)その他
オーストラリア(AFS/Australian Forestry Standard)とチリ(Certforchile)では、独自の認証制度が創設されており、共にPEFC傘下に入っている。
日本については、日本林業協会が中心となって検討が進められていた、我が国独自の森林認証制度である“「緑の循環」認証会議(SGEC)”が、2003年6月3日に発足している。


(※1)ヘルシンキプロセス ヨーロッパ地域における持続可能な森林経営の基準と指標(参加国は、ヨーロッパ38カ国)
(※2)モントリオールプロセス ヨーロッパ以外の温帯林を持つ地域での持続可能な森林経営の基準と指標 (参加国は、日・米・加・豪・チリ他 計12カ国)

ISO14001を取得したオーストラリアの自社林
ISO14001を取得したオーストラリアの自社林

 
以上