2006年6月13日

環境対応型パルプ化技術の実証試験を開始
~世界初の実用化に向け、八代工場に実機設備を導入~

日本製紙株式会社

日本製紙(社長:中村雅知)は、化学薬品メーカーの川崎化成、電解槽メーカーのクロリンエンジニアズと三社共同で開発した環境対応型パルプ化技術『白液電解ポリサルファイド蒸解法』を利用した実機設備を、世界で初めて八代工場(熊本県八代市)に導入します。
設備投資額は約13億円で、2007年9月の完成を予定しています。

「白液電解ポリサルファイド蒸解法」では、木材チップからパルプを製造する際に使用する薬品(白液)を、電気分解によりポリサルファイドという薬品に変換します。このポリサルファイドは、パルプの主成分となる木材繊維(セルロースとヘミセルロース)の分解を抑制するため、パルプ製造時の収率(歩留まり)を大幅に向上させることができます。さらに、白液を分解する際に、近年価格が急騰している苛性ソーダ(パルプ漂白に使用)を副次的に製造できるため、薬品費用の大幅な削減も可能にします。

当社は、これまで上記二社とともにパイロットプラントを使用して基礎技術の研究を進めてきましたが、この度、経済産業省の“エネルギー使用合理化技術開発費補助金(エネルギー使用合理化高効率パルプ化技術開発)”の助成を受けて、実用化に向けた技術開発ならびに実機設備による実証試験を行います。
八代工場では、現在木材チップから約800t/日のパルプを生産しています。この設備の導入により、従来のクラフトパルプ製造法と比較して木材チップを約5%節減できるため、年間約4万m3の木材資源の節減と、付随するエネルギーの節減が可能となります。

当社は日本製紙グループの「環境憲章」に基づき、自然と調和する持続可能な事業活動に積極的に取り組んでいます。「白液電解ポリサルファイド蒸解法」は、紙の原料となる森林資源を節約できる省資源技術です。当社は今後もさらなる省資源に取り組み、社会の持続的な発展に寄与していきます。
なお、この技術に関しては、本年11月にアトランタで行われる「2006 Engineering, Pulping and Environmental Conference」などで発表を予定しています。

 
以上