2007年2月7日

メタン発酵処理の本格稼働を開始
~勇払工場に続き、岩国工場に日本最大規模の実機設備を導入~

日本製紙株式会社

日本製紙(社長:中村雅知)は、本年1月から、岩国工場(山口県岩国市)において、日本最大規模のメタン発酵処理設備を本格稼働しました。クラフトパルプ製造工程では有機物を含んだ排水が発生します。この処理設備は、反応槽1,200m³で1日当たり2,400m³のクラフトパルプ排水を処理することができ、発生するメタンガスは重油換算で年間2,000kl分(約1,000世帯分の消費エネルギー)に相当します。
メタン発酵処理は、従来の好気性処理と比較してほとんどエネルギーがかからないだけでなく、排水中の有機分をメタンガスに変換し重油代替として利用できるため、排水からエネルギーを生み出す処理法として注目されています。また、従来の処理法では最終的に主として二酸化炭素を排出しますが、メタン発酵処理では主にメタンを生成するため二酸化炭素の排出が少ないというメリットもあり、すでに国内ビール工場をはじめとする食品工場の排水処理に利用されています。しかしながら、製紙工場で発生する排水に含まれる有機分は、低濃度であるため効率的に処理することが難しく、これまで導入が進んでいませんでした。
当社は、経済産業省の"エネルギー使用合理化技術開発費補助金(エネルギー使用合理化黒液濃縮水メタン発酵処理技術開発)"の助成を受けて、メタン発酵による排水処理の実用化に向けた技術開発、ならびに実機設備による実証試験を行ってきました。2004年に第一期実証試験を勇払工場(北海道苫小牧市)で開始し、2005年には岩国工場で第二期実証試験に着手し、このたび本格稼働に至りました(総開発費11億円)。このようにクラフトパルプ排水にメタン発酵処理を適用した事例は、世界でも勇払が二例目、岩国が三例目であり、国内では勇払が日本初、岩国が二例目かつ最大規模となります。
当社は、日本製紙グループの環境憲章に基づき、省エネルギーおよび自然と調和する持続可能な事業活動に積極的に取り組んでいます。「クラフトパルプ排水のメタン発酵処理」は、排水中の未利用成分を有効活用できる省資源技術です。当社は今後もさらなる省資源技術の開発に取り組み、社会の持続的な発展に寄与していきます。

 
以上