1999年2月2日

石炭灰から人工土壌を開発

日本製紙株式会社

日本製紙は、緑化工事の専門会社、上毛緑産工業株式会社(本社:群馬県北群馬郡吉岡町、社長:高橋廣司氏)と共同で、石炭灰から人工土壌を作り、法面緑化資材に利用する技術を開発した。
 
日本製紙では、廃棄物削減を目指して、廃棄物の最終処分量を生産量の0.2%以下とする「ゼロディスチャージ運動」を展開しており、その一環として、発電用燃料である石炭の燃焼灰(約15万t/年発生)を有効利用することに取り組んでいる。今回の人工土壌は、昨年下水汚泥の脱水助材として利用する技術を、東京農業大学・網走市と共同で開発したのに続くものである。
 
石炭灰は有機物がほとんどなく、いわゆる土壌にはならない。そこで、有機物として下水汚泥を混ぜ、コンポスト化することにより人工土壌化することにした。ところが石炭灰は9割以上が粒径0.1mm以下の微粉であり、このままではコンポスト化時の空気流通が悪く発酵がうまく進まないため造粒化が必要であった。一般的な球形・円筒形のような均一な造粒物では、下水汚泥とうまく混合しなかったため、いろいろな大きさを持ち、角張った不定形物に造粒する技術を開発し、法面(のりめん)緑化に適した人工土壌を作ることに成功した。また、石炭灰には脱臭性能があるために、下水汚泥の悪臭を緩和する効果もある。
本技術については、今までに3カ所で大規模な施工試験を行っており、従来の方法と遜色のない植生結果が得られている。
 
日本製紙と上毛緑産工業株式会社とは、石炭灰とは別に、製紙工程から発生するスラッジの炭化物と下水汚泥による人工土壌を用いた法面緑化工法(PMC工法)で、すでに実績をあげている。今後は、製紙スラッジの炭化物が入手困難な地域で、新工法の展開を検討しており、まず九州地区での普及を予定している。
また、今回開発した石炭灰造粒物については、土壌改良材に用いる研究もすすめていく予定である。
 

 
以上