1999年5月21日

生産体制の再構築について

日本製紙株式会社

今日の製紙業界は、洋紙需要の変化・国際競争の激化など産業構造の急速な変化への新たな対応を迫られております。当社は、日本製紙誕生以来、率先して12台の生産設備を停止・廃棄するなど諸施策を強力に推進してきましたが、このような環境変化を踏まえて、21世紀の発展を可能とする強固な企業基盤の再構築を早期に図り、併せて業界の過剰設備処理の一端を担うべく、以下のとおり生産体制のさらなる見直しを行うことにしました。

(1) 生産性の低い抄紙機6台を停止・廃棄するとともに、引き続き生産性向上を目指し追加廃棄を検討する。
(2) 都会地工場である都島工場を閉鎖し、その資産価値を有効活用する。
(3) 当社と製紙グループ各社(日本板紙・大竹紙業・三島製紙)の生産余力を相互に活用することにより、グループ企業の基盤強化を図る。

廃棄設備と停止時期

    年間能力 停止時期
八代工場 2m/c 62,000t 平成11年9月
都島工場 2・3・4m/c 23,000t 12年3月 (工場閉鎖)
岩国工場 2m/c 43,000t 〃  
旭川工場 3m/c 17,000t 〃  
旭川工場 原料統合化による減産 22,000t 〃  

6台 167,000t 能力削減率4.7%

八代工場、旭川工場、岩国工場の停止マシンの製品は、自工場で全量生産し、需要家への供給および品質維持に万全を期してまいります。

都島工場の閉鎖

都島工場は大正3年帝国製紙(株)として操業を開始し、(旧)王子製紙(株)の時代を経て昭和24年十條製紙(株)都島工場となり、今日に至っております。長年にわたり、当社の薄葉紙工場として、ライスペーパー、インディアペーパー、グラシンペーパー、複写用紙など高度な生産技術に裏打ちされる高付加価値製品の生産を行ってきました。また、ノーカーボン紙、各種情報記録用紙、複合紙(オーパー)の開発をはじめ、新製品開発の面でも大きな貢献を果たした工場であります。

しかし、都会地立地に由来するコスト面のハンディも徐々に重くなり、また主力製品の成熟化も顕著となるなど厳しい環境が続く中、懸命の合理化努力にもかかわらず競争力が著しく低下してまいりました。

製紙産業の構造変化を踏まえ、都島工場での洋紙事業継続を断念し、むしろ当工場の大きな資産価値を活用することにより資産効率を高め、企業体質の早期強化を図ることにしました。

生産は、原則として当社他工場(伏木・勇払・小松島)へ移管いたしますが、一部品種につきましては薄葉紙の専門メーカーである三島製紙(株)に生産委託いたします。
従って、販売につきましては生産委託品を含めてこれまで同様当社営業本部が責任をもって行い、お客さまにはご迷惑をかけないように万全の措置をとる所存であります。

都島工場閉鎖にあたり、長年にわたり当工場にご愛顧を賜りました関係者の皆さまに深く感謝申し上げますと共に、引き続きご支援を賜りますようお願い申しあげます。

なお、都島工場に隣接する日本板紙(株)大阪工場も、同社の中期経営計画強化策の一環として閉鎖する予定になっております。

グループ各社間の生産余力の活用

当社は都島工場の閉鎖に伴い、その生産品種の一部を三島製紙(株)に委託します。また、日本板紙(株)は大阪工場の閉鎖に加え、芸防工場の体質改善策の一環として、抄紙機の一部停機を計画していますので、その生産を当社および大竹紙業(株)が受託します。その結果、日本板紙で余剰となるパルプは、当社岩国工場にかわって大竹紙業(株)に販売いたします。
以上のとおり各社の生産余力を相互活用することにより、それぞれの収益改善を図ることにしました。


 

(参考資料-1)

1.余剰人員及び措置

(1) 人 員 (平成11年3月末現在)    
都島工場閉鎖 185名  
他工場(廃棄マシン) 69名 合計 254名
(2) 措 置
5,500名体制実現措置対策に下記対策を追加し、措置促進を図る。
1) 事業所間転勤、関連会社での受け入れを一層促進する。
2) 人材活用と受け皿確保を目的に、新規事業・新規職場の開拓のため専任組織を設置する。
3) 全社従業員を対象に希望退職を募集する。

2.収益への影響

 
(1) 生産体制再構築による改善額

・グループ4社合計

年間 約50億円
  なお、当社中期計画強化策による収益改善効果は、次のとおりです。
  ・上記生産体制再構築 30億円 ~ 35億円
  ・要員合理化(上記除く) 85億円
  ・製造コスト(人件費を除く) 150億円
 
年間 265億円 ~270億円
 
(2) 一時損失
  ・廃棄設備簿価 約60億円
  ・資産撤去・処分他
(退職金除く)
約10億円

3.活用資産

都島工場用地 98千m2 簿価 50億円
  評価額 約400億円 (当社算出による)

(参考資料-2)

名  称 日本製紙株式会社 都島工場
所在地 大阪府大阪市都島区善源寺町2-2-7
工場長 都 甲 文 雄
沿  革
大正3年12月 帝国製紙株式会社として操業開始
5年2月 買収により王子製紙(株)大阪工場
(後に大阪分社と改称)
14年4月 (旧)王子製紙(株)都島工場と改称
昭和24年8月 (旧)王子製紙3社分割により十條製紙(株)都島工場と改称
42年9月 7台の抄紙機と3台の塗工設備体制
45年4月 2号コーター停機
47年1月 1号 〃
48年3月 5号抄紙機停機
51年8月 3号コーター、1号抄紙機停機
平成2年1月 ラミネーター新設 複合紙開発
5年4月 山陽国策パルプとの合併により日本製紙(株)都島工場と改称
8年3月 7号抄紙機停機
9年9月 6号抄紙機停機(ライスペーパーから撤退)
従業員数  185名 (平成11年3月31日現在)
主要設備
・2号抄紙機 長網多筒式 網巾 1,980?o 日産能力13.9トン
・3号抄紙機 長網多筒式 網巾 2,340?o 日産能力23.0トン
・4号抄紙機 長網多筒式 網巾 2,640?o 日産能力30.1トン
・複合紙加工機 ロール巾 1,500?o 速度 分速30~230m
・排熱ボイラ 50T/H×2基 ガスタービン 7,140KW×2基
生産品 グラシンペーパー、インディアペーパー、裏カーボン原紙、感熱原紙 ほか
所有土地
工場用地  84,030m2 (日本板紙(株)貸与地含む)
厚生施設等 2,675m2 (体育館、古紙ヤード)
使用中社宅 5,313m2
社外貸与地 6,002m2 (駐車場等)

98,020m2

 
以上