1999年11月8日

川崎化成・旭硝子と共同で、環境対応型パルプ化新技術を開発

日本製紙株式会社

当社は、キノン系化学薬品メーカーの川崎化成とイオン交換膜電解技術をもつ旭硝子と共同で、環境対応型のパルプ化技術である「高濃度多硫化物蒸解液製造装置」の開発に成功した。
この技術は、木材チップをパルプ化するための薬品を、電解法により酸化改質して使用することでパルプ歩留を大幅に改善するとともに、パルプの漂白に必要な薬品である苛性ソーダを同時に製造できる技術であり、将来の無排水漂白の実用化につながる世界初の試みである。
3社は、平成9年から日本製紙岩国工場で小型パイロット装置を用いて開発に取り組んできた。
今年6月に通産省の平成10年度新規産業創造技術開発費補助金(即効型)の交付を受けて実用化へ向けパイロット設備を設置し実験を続けているが、このほど長期連続運転技術の確立に見通しが立った。11月に米国フロリダ州オーランド及び盛岡市で開催されるそれぞれの紙パルプ技術会議で成果を発表する。
また、この成果をもとに日本製紙内の工場に工業規模の設備を設置する検討に入る。
この技術を用いることにより、通常のクラフトパルプ法と比較して木材チップを5%節減できるので、日産 1,000t規模 のパルプ工場では年間 50,000m3の木材資源が節約できる。
また苛性ソーダを自製できることから、将来、オゾン漂白などの無塩素漂白法と組み合わせることにより、パルプ漂白排水を濃縮・焼却してエネルギー源として利用するとともに漂白薬品を回収して系内を循環させる、パルププラントの無排水化を効率よく実施することができる。

 
以上