木から生まれた牛のエサ「元気森森®」
元気森森®の製造拠点トップランナー
岩沼工場
宮城県岩沼市にある岩沼工場は、仙台から南へ約20kmの距離にあり、国道4号線と6号線、東北本線と常磐線が交わる交通の要所に位置しています。1968年に設立され、広大な敷地を誇る岩沼工場は、元気森森®の品質・製造・出荷を担っています。
岩沼工場(宮城県)
元気森森®を支える6人のエキスパート
まずは簡単な自己紹介をお願いします。
干潟:技術室の干潟です。技術室では元気森森®の品質管理と飼料製造の運用管理における事務局を担っています。
阿部:技術室の阿部です。元気森森®の事務局として、品質・衛生・教育について計画に基づき確実且つ効果的に実施されているか管理しています。
上條:原質課の上條です。紙の原料のセルロース製造技術を応用して元気森森®を作っています。また、ロールベーラー含めた製造設備の管理も行っています。
津田:原質課の津田です。元気森森®の製造と原料の生産計画に携わっています。
佐藤:業務課製品グループの佐藤です。元気森森®の納期に見合った出荷計画、納品までの一連を管理しています。
五十嵐:業務課製品グループの五十嵐です。元気森森®の発注、出荷管理に携わっています。
ゼロからスタートした知識と経験の積み重ね
製紙会社が前例のない「牛のエサ」を製造することになりましたが、最初に思ったことなど教えてください。
阿部:まだ開発段階である2015年の試験研究品目としての元気森森®から携わっています。紙分野とは異なり完全にゼロからのスタートで、全く知識がありませんでした。まさに何が分からないのかが分からない状態。牛の勉強のために岩手県の牛の博物館にも行きましたよ。
干潟:すごいですね。勉強熱心です!私は丑年生まれということもあり、元気森森®に携わるのはご縁があると思いました。紙の場合は当社にノウハウがあって製品使用のシミュレーションもできましたが、元気森森®は牛の環境や条件によって効果がさまざまで難しいです。毎日営業担当者からお客さまの情報をもらって、知見を増やしています。
上條:そうですよね。私も毎日が勉強です。岩沼工場に赴任したのは2年前ですが、その時には既に岩沼では元気森森®を製造していました。パルプも飼料になるのだと改めて実感しましたね。
ブナやナラなどの国産間伐材を原料に使用
元気森森®の原料が「木」という点に驚かれるお客さまは多いですが具体的にどのような木材を使用していますか?
上條:私たちは東北から北関東エリアのブナやナラなどの広葉樹を主に使用しています。
津田:そうですね。建築用木材の余りや森林を育成するために間引いた間伐材を活用していますよね。
阿部:それと元気森森®は国内で製造しているので、気候変動や世界情勢に左右されにくく、年間を通して安定した品質と供給が可能です。
元気森森®は紙の残渣では無い
食品残渣を使う飼料もありますが、元気森森®も紙の残渣を利用しているのですか?
津田:いいえ。元気森森®は紙と作り分けをしているので、紙の残渣ではないです。
上條:そうですね。紙の余りを使うことはなく、元気森森®は生産計画にしっかりと組み込まれた製品として製造していますよ。
阿部:また、元気森森®は穀物などの可食資源ではないため、人間の食との競合もありません。
連携と確認で築く信頼
元気森森®はしっかりとした計画のもとで作られているのですね。製造する上で特に気を付けている点を教えて下さい。
阿部:やはり、生き物を相手にしているという点ですね。営業担当者から、お客さまは牛を家族同然に扱っていると聞いています。だから、原料調達から製造、出荷まで細心の注意を払っています。
五十嵐:出荷の際も、荷姿や表示票ラベルをしっかり確認してから出荷しています。
上條:設備の不具合や原料の確認も欠かせません。定期的にパトロールし各工程をチェックしています。
地道な調査と説得で構築した運用管理体制
では、元気森森®の運用管理体制確立までの経緯を教えてください。
干潟:岩沼工場が取り扱う元気森森®(A飼料)は、GMPガイドラインに則った管理を行っています。GMPガイドラインとは、Good Manufacturing Practice「適正製造規範」のことを指し、原材料の調達から製造出荷までの管理徹底についての指針です。飼料を取り扱う上での品質・衛生・教育について、製紙工場での基盤作りは大変な苦労がありました。
佐藤:本当に、あの時は大変でしたよね。製造設備面をハード、場内のルールや手順書などの管理体制をソフトと考えると、ハード面での設備導入は比較的順調に進んでいましたが、ソフト面である管理体制の整備は阿部さんをはじめとする事務局の努力が大きかったです。
阿部:新規事業に関する規定や手順書、ルールを作るにあたり、飼料に関する知見がなかったのでゼロからのスタートでした。飼料安全法やGMPガイドライン、県の飼料安全法の手引きに目を通し、何でも吸収するよう心掛けましたね。飼料の安全確保や製造に求められることを規定や手順書に落とし込み、関係部署に管理の必要性を説いて理解と協力を得ることで、運用管理体制を構築しました。
五十嵐:あの時の努力があったからこそ、今の岩沼工場は元気森森®の生産におけるトップランナーなのですね。
手作業からデジタルへ 元気森森®の生産・販売・在庫管理体制
2024年下期からは生産・販売・在庫管理システム(SAP)を導入されましたが、いかがですか?
五十嵐:システム導入前は、製造部門で表示票ラベルにロット番号を手書きしていました。そのロット番号をさらにパソコンに手打ちでデータを入力し管理していましたね。雨に濡れてロット番号の文字がかすれて見えにくくなることもありましたね。
津田:そうそう、当時は私が数字を書いていましたよ。A4サイズのシール紙を4つに断裁して、一度に500枚の表示票を作っていました。
上條:大変でしたよね。手作業が多くて、効率が悪かったです。
佐藤:今はSAPを導入したので、受注計画から出荷まで一括管理しています。作業がかなり効率化されました。
五十嵐:以前に比べて作業効率が上がりましたね。表示票にはQRコードを付けており、データが自動でシステムに反映される仕組みになっていて、出荷前に必ず確認しています。
元気森森®が教えてくれた新しい視点
元気森森®の仕事を通じて、牛や牧場に対する見方が変わったエピソードはありますか?
阿部:そうですね、牛乳にこだわるようになって、おいしい牛乳を求めて遠出することが増えました。
佐藤:私はロールベールにはつい目がいってしまいます。岩沼近郊の刈り入れた畑にはロールが転がっており、宮城県は思ったより多くのロールベールがある環境なのだと気づきました。
五十嵐:私も同じです。ロールベールを見ると、つい輸送方法について考えてしまいます。どこに運ぶんだろう?トラックが入れるだろうか?といったことを考えてしまいます。職業病ですね。
上條:私も牧場の近くを通ると、つい牧場を端から端までじっくりと見てしまいます。
信頼と品質を守る 岩沼工場産元気森森®の未来
これからの元気森森®について教えてください。
上條:安定した元気森森®の品質と供給を維持できるよう、引き続き頑張ります。
津田:牛たちの健康を支える元気森森®を安定してお届けできるよう、製造に力を入れていきます。
佐藤:岩沼の交通の利便性を生かしてもっと東北や北関東のみなさんにお届けできるようになりたいですね。そのためにしっかりとした出荷体制を維持して注文をお待ちしています。
五十嵐:元気森森®お客さまに安心して使っていただけるよう、出荷の際には細部まで確認を徹底し、これからも信頼される製品を届けられるよう、全力で取り組んでいきます。
阿部:元気森森®の生産におけるトップランナーとして誇りをもって業務を遂行しています。業界での元気森森®の認知度をさらに上げていきたいです。
干潟:数年かけて整えた元気森森®の製造や出荷管理システムが本格運用を開始しています。メンバーの入れ替えもありますが、事務局として製造を長く続けるための仕組みや教育体制をこれからも整えていきます。
皆さん、ありがとうございました。元気森森®にかける皆様の情熱と、日々の努力がいかに重要であるかを改めて感じました。これからも品質と信頼を大切にし、さらなる発展を遂げられることを心より期待しています。
技術室 干潟知弘
技術室 阿部勇二
原質課 上條康幸
原質課 津田裕
業務課製品グループ 佐藤和文
業務課製品グループ 五十嵐由美子
