オリジナル飼料と元気森森®でおいしい牛肉を追求する

有限会社宮島牧場
取締役農場長 木村 学氏(茨城県)

オリジナルブランド「霞浦(かほ)牛」を現在約1,800頭飼養する宮島牧場。ビール粕、大豆、さつまいも、フルーツなど8~10品目程度を独自にブレンドしたサイレージや元気森森®など原料の7割以上が国産の飼料を肥育牛(交雑牛メス)に与え、黒毛和牛に負けない安心安全でおいしい牛肉を生産している。

オリジナル飼料への挑戦

宮島牧場は古くは乳牛からスタートしています。その後、去勢した交雑牛の肥育に変更し、14年ほど前から交雑牛のメスに切り替えました。またそのタイミングでオカラを使っている農家の話を聞くチャンスがあり、配合飼料の値段が上がっていたので、オカラを混ぜてみたのが、オリジナル飼料に取り組んだきっかけです。
そこからは試行錯誤の連続でした。夏場になると食べ残しが増え、残渣を混ぜた飼料が腐ります。その食べ残しの原因が腐っているからなのか、暑いからなのか、お腹がいっぱいなのか、発情なのか、わからない。腐らないように1回に与える量を減らしたり、2回給餌から3回給餌にしてみたり。回数を増やせば人間が大変なので、どうしようかと思っていたら、餌のサイレージ化という情報にたどり着き、その農場さんを訪問し、話を聞きました。サイレージ化すれば餌は腐りにくくなり、発酵によりおいしくなるし、お腹にいい。これはやるしかない!と、宮島牧場でもサイレージ化の取り組みを開始しました。サイレージ化には、密閉保管用の箱・ミキサー・脱気機器など必要な資材が多く費用が掛かります。少しでも費用を抑えるために数十個ある密閉保管用の箱は全て自社で手作りしました。取り組み開始から約2年かけてサイレージを給与できるシステムを作りました。

また、サイレージ含め宮島牧場の飼料は地域の未利用資源である残渣を活用しており国内調達率60%以上、添加物や肉骨紛は一切使っていません。宮島牧場は循環型社会の形成に貢献するだけでなく、安心安全な飼料で牛を育てています。

純度の高さを売りにするセンイ「元気森森®」との出会い

宮島牧場の飼料は残差をメインとしているため、餌としては薄くなります。その餌でどうやって枝肉重量を重くするかは課題です。重くするには食べた餌を効率よく身にする必要があり、そこで重要だと考えているのは胃袋の状態を整え、餌の消化速度を遅らせるセンイです。そんなとき、2022年10月に開催された「農業WEEK(現:J AGRI)」で、たまたま元気森森®と出会いました。話を聞いたら純度の高いセンイだというので「これだ!」と。
当時すでに、宮島牧場では高水分のサイレージを与えていたことやセンイを重要視している自分の信念もあり元気森森®を追加することに抵抗はなく、さっそく肥育中期・後期約1,200頭を対象に同年の11月から1頭あたり100gの慣らし給与、12月から500gの本格給与を開始しました。

元気森森®給与後、枝肉重量平均値がアップ

枝肉重量について、2022年9~10月期(未給与)の100頭平均が457キロだったのに対して、元気森森®本格給与開始して4~5か月後の2023年3~4月に出荷された牛100頭平均が474キロと17㎏(3.7%)アップしました。最近では474キロを超えてきています。飼養管理方法やほかの餌の質・個体差などさまざまな要因があるので一概に、元気森森®の効果がこれだ、というのはとても難しいですが、少しずつ課題が克服できていることを実感しています。

安定品質・安定供給のセンイ「元気森森®」

飼料になるアーモンドの皮

宮島牧場で使う残渣はビール粕、オカラのほかにもサツマイモ、豆、アーモンドの皮、パイナップルの皮、ブルーベリージュースの搾りかす、玄米などおいしいものばかりです。でもそこには残渣ゆえの難しさもあり、集まってくる品種と量は一定ではありません。その点、元気森森®は安定した品質のものを安定的に供給が可能なセンイなので計算しやすく、作業するほうも助かっています。また、国産飼料である点も宮島牧場の飼料の特徴と一致しています。

自分が育てた牛を皆さんに食べてもらいたい K’s Villageをオープン

私は東京の出身です。茨城県で牛を育てていると友人に伝えると、「どこで食べられるのか」と聞かれる機会が多かったことがきっかけで、自分が育てた牛を「これだよ」と提供できる場所が欲しい、という思いが強くなり、K's Villageを開店することにしました。弟が東京で飲食店を経営していたため、メニュー作りなど援助してもらい、一緒に茨城に移住した妻に店舗を任せることにしました。店舗は内装も外装も、すべて自分たちで作業しました。新型コロナウイルスが流行った2020年に開店し、当時はとても大変でしたが、今年で4周年を迎えました。今後も一人でも多くの方にこだわりの飼料や飼養管理方法で育てた「霞浦牛」の赤身と脂身の旨み味わって頂きたいです。霞ヶ浦はサイクリングで有名ですので、ドライブだけでなく、サイクリングの途中でもお立ち寄りいただければうれしいです。

店舗名
K's Village
住所
かすみがうら市深谷61-84
電話番号
029-846-5272
営業時間
11:30~13:30(月~土)
ラストオーダー 13:30
定休日
日曜日

※お問合せやご予約はお電話にてご連絡下さい。

聞き手:日本製紙 バイオマスマテリアル・コミュニケーションセンター
取材日:2024年3月1日
写真:宮島牧場ホームページおよび日本製紙撮影