元気森森®と共に未来を拓く

株式会社佐久間牧場
専務 佐久間 哲次氏(福島県)

福島県双葉郡葛尾村で酪農を営む佐久間牧場。原発事故で一度牛を全頭手放すも牧場を再開、最新の技術を導入し更なる規模拡大と共に地域復興に挑戦し続けている。
JA全農福島主催の「乳質環境改善コンクール」では3年連続で最優秀賞と県知事賞の2冠を達成、2022年には第40回全農酪農経営体験発表会で優秀賞を受賞。
佐久間牧場では、2021年5月から元気森森®の給与を開始、現在では約400頭の飼養牛全ステージに元気森森®を給与している。佐久間専務に話を聞いた。

木質由来の国産良質なセンイ 元気森森®

佐久間牧場ではいくら食べてもお腹を壊さないエサを食べさせて牛の健康を維持していきたいと日々考えています。震災前、約80%の飼料を自給しており、自分たちでこだわりを持って牧草を栽培していました。しかし、震災による原発事故後は輸入牧草を使用せざるを得ない状況になり、飼料の価格が倍以上に高騰してしまいました。ほかの飼料に変えた場合、牛が食べないし、消化も悪いという問題もありました。牧草栽培は出来ないし、輸入品の取り合いも難しい。ほかが使わない飼料を使おうと思っていた矢先の2021年に木質由来の国産良質なセンイ「元気森森®」に出会いました。

元気森森®が夏場の乳脂肪・繁殖成績向上に寄与

2021年5月、乳脂肪率が夏前で低下しやすい時期に元気森森®の給与試験を育成牛と成牛で開始しました。まずは従来の飼料設計に元気森森®を上乗せする形で給与しました。給与前に平均3.75%で推移していた乳脂肪率が給与後は平均3.99%に向上。それ以降も乳脂肪率が高い水準を維持したことから、牛への負担軽減とコスト削減のために綿実の給与を中止しました。綿実中止後、乳脂肪率は夏場でも平均3.87%と高い値を示しました。
繁殖成績では、以前は夏場の種付けの機会が少なかったのですが元気森森®を給与開始してから2か月経過した7~9月は、真夏にも関わらず強い発情が見られました。そして種も止まり約10頭の牛が出産したことには正直驚きました。
元気森森は®、TDNが95.6%で粗繊維の消化率が97%とほぼセルロースなのでエネルギーの塊と言えます。また濃厚飼料と比較して消化速度が緩やかであることから、ルーメンpHを急激に下げることなく摂取出来ます。そのためルーメンアシドーシスのリスクを低減した状態で濃厚飼料並みのエネルギーを補給でき、これらの効果をもたらしたのだと考えています。

子牛の腹づくり(ルーメンの発育・成長)に貢献する元気森森®

私たちは常日頃から牛の健康に注意を払い、データを見つつ飼料設計に取り組んでいます。
元気森森®自体には嗜好性がありませんのでTMRで他飼料と組み合わせて嗜好性を付加して給与しています。元気森森®の形状がベールとシートの2種類ありそれぞれ消化速度が異なるため、牛の生育状況に応じて使い分けをしています。国産で安定的に供給できる点も安心ですね。
子牛の腹づくり(ルーメンの発育・成長)のトレーニング用途としては、産後10日目くらいからスターターとサプリと混ぜて給与しています。最初はにおいを嗅いだり、遊び食い程度ですが、産後30日目くらいからバクバク食い始めていき、体重の乗りが良くなってきます。子牛の頃から元気森森®を食べている牛はその後も問題なく食べていますよ。育成牛にはシート状の元気森森®を粉砕し他の飼料と共に給与しています。

元気森森®を活用し健康で元気な牛を増やしていく

私自身は、原発事故で避難生活を経験しており故郷葛尾村で「土地の受け手になりたい!」との強い想いから牧場の再生をゼロから始め、現在葛尾村村議会議員を4期務めています。
多くの方々が葛尾村へ訪問出来るように深紅の美しいクリムゾンクローバーをデントコーンの裏作として5年間栽培し、育てています。インスタ映えスポットとして密かな人気を誇っており年々観光客が増えているのが嬉しい限りです。これからも多くの人に葛尾村に訪問してもらいたいですね。
元気森森®の使用方法や効果は、まだまだポテンシャルがあると考えています。これからも担当者と色々タッグを組んで新たなる元気森森®の活用で健康で元気な牛をさらに増やしていきたいです。

聞き手:日本製紙 バイオマスマテリアル・コミュニケーションセンター
取材日:2024年2月26日
写真:佐久間牧場および日本製紙撮影