元気森森®で繁殖牛の健康増進と環境経営の両輪を回す

株式会社敷島ファーム
常務取締役 畜産事業部長 五十嵐 将光氏

黒毛和牛を専門に飼育する敷島ファーム。早くから環境経営と飼料の国産シフトに取り組み、今では那須牧場の繁殖牛1500頭すべてに元気森森®を与えている。五十嵐常務に話を聞いた。

元気森森®は国産飼料

敷島ファームはもともとチャレンジする企業でいろいろなことを試していました。その中でも、国産飼料への切り替えができないか、かなり前から探していました。白老牧場(北海道)は道内産の牧草を使っていましたが、那須牧場(栃木県)は飼料を海外に頼っていたのです。ただ、国産飼料にしても自然災害があったら影響がでます。工場で製造される飼料と自然からの産物である飼料をバランスよく使って、何があっても耐えられる農場にしたかった。
そのようなとき、新聞紙面で元気森森®を知り、2020年10月からの給与試験になりました。当然ですが、牛の健康に問題がないことを確認してから切り替えていきました。

元気森森®が母牛の健康増進

試験給与が終わり、2022年1月から本格給与を開始しました。現場では「あ、食べるんだ・・・」と少し驚きでした(笑)。それどころか、敷島の牛はよく食べています。元気森森®は消化が良い飼料で母牛が健康になります。母牛が元気だと、子牛も元気になり、肥育成績が向上しました。子牛の下痢や風邪といった疾病が明らかに減少しましたね。人間と同じでお母さんが元気なら子どもも元気です。

安定品質・供給の元気森森®で安心

ウクライナ侵攻後、輸入粗飼料の価格が高騰しましたが、敷島では国産へ切り替えが完了していたので、影響はありませんでした。敷島で使っている元気森森®は、岩沼品(宮城県)ですが、生産拠点が増えたと聞いていますので、もし、自然災害があっても手配できるので安心です。また、輸入粗飼料は品質が安定しません。工場で製造される元気森森®は品質が安定しています。飼料設計もしやすく、栄養分の調整に使えます。敷島では与える飼料の重量、栄養分をしっかり管理しているので、栄養分のブレがない、品質が安定しているというのは重要なポイントです。

元気森森®が「ゼロカーボンビーフ」に貢献を期待

敷島は2019年に「農場HACCP※1」「JGAP※2」の認証を取得しました。オリンピックで採用されるには認証が不可欠です。さらに敷島は「ゼロカーボンビーフ」プロジェクトに取り組み、どれだけGHGを削減したかを数値で出したいと考えています。そのほうがわかりやすいですよね。
元気森森®は木材由来ですので、GHGの吸収・固定に貢献しています。国産飼料ですから輸入飼料と比較して、輸送にかかわるGHGも削減できます。現在、日本製紙で元気森森®の給餌によりゲップや排せつ物がどれだけ減らせるか実証試験中だと聞いています。将来的にはどれだけGHGを削減できたかを製品上に数値で示せるといいですね。
TMR※3を使っている牧場さん、飼料設計をしっかりされている牧場さん、そして環境経営に取り組んでいる牧場さんにはぜひおすすめしたい飼料です。

※1:農場HACCP (Hazard Analysis Critical Control Point)
農場HACCPは危害要因分析(HA)必須管理点(CCP)の考え方を農場に取り入れ、病気や汚染、異物混入などの危害要因を防止する為の管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録をおこなうことにより、農畜産物の安全性の確保と生産性の向上を図る手法です。

※2:JGAP(Japan Good Agricultural Practice)
GAPは工程管理に基づく品質保証の考え方を生産現場に導入し、想定される食品事故などの問題を発生させないように未然に防ぐための手法です。生産物の安全性保証や環境保全のために世界的に導入が進められており、JGAPは日本版のGAP認証です。

※3:TMR(Total Mixed Ration)
完全混合飼料。

聞き手:日本製紙 バイオマスマテリアル・コミュニケーションセンター
写真:敷島ファームホームページおよび日本製紙撮影