ニュースリリースCNF強化樹脂の実証生産を本格化~富士工場の実証生産設備を拡張し、用途開発を加速~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)は、富士工場(静岡県富士市)内のセルロースナノファイバー強化樹脂(以下「CNF強化樹脂」)実証生産設備を7月末日に拡張しました。サンプル製造能力を拡大し、用途開発を加速していきます。

CNF強化樹脂混練設備

CNF強化樹脂(Cellenpia PlasTM )マスターバッチペレット  


CNF強化樹脂ペレット中のCNF繊維

CNF強化樹脂(製品名:Cellenpia PlasTM(セレンピア プラスTM))は、CNFをポリプロピレンやナイロン6などの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度な新素材で、自動車、建材、家電などでの利用が期待されています。CNF強化樹脂は、部材の軽量化が図れることに加えて、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減、及びCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながります。 

当社は、現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクト(注1)に参画し、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいます。この度、この助成金を活用して富士工場に建設した、混練を中心とする実証拡張設備は、年間50トン以上のCNF強化樹脂マスターバッチ(注2)を製造することができます。 

また、このCNF強化樹脂の設計・開発、製造について新たにISO9001の認証を取得しました。それにより、マスターバッチの品質マネジメントを徹底させてまいります。今後は安定して大量生産する製造技術の確立を目指すとともに、CNF強化PA6については本年10月より、またCNF強化PPについては来年4月よりサンプル提供を拡大し、自動車用部品を始めとする幅広い産業への用途開発を加速させてまいります。 

なお、当社ではすでにTEMPO酸化CNF(石巻工場(宮城県石巻市)/注3)を産業用途全般向けに、カルボキシメチル化CNF(CM化CNF/江津工場(島根県江津市)/注4)を、食品、化粧品用途向けに営業生産・販売しています。これに加えて、「CNF強化樹脂」の大量製造技術と本格的な供給体制を早期に確立することで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、新素材・CNFの市場創出の強化と、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策(CO2を主とした温暖化ガス排出削減)に貢献してまいります。 
 

(注1)「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/革新的CNF製造プロセス技術開発/CNF強化樹脂(PA6、PP)の低コスト製造プロセス技術の開発)」に宇部興産株式会社と共に参画

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101344.html 

(注2)CNFを高含有(30-50%)した樹脂。5~10%程度に希釈したのちに成形加工する。 

(注3)セルロース(原料パルプ)をTEMPO触媒によって酸化し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅約3nmの非常に細いCNF 

(注4)セルロース(原料パルプ)をカルボキシメチル化(CM化)し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅数nm~数十nmのCNF

https://www.nipponpapergroup.com/products/cnf/ 

以上