ニュースリリースヤマハ発動機とCNF強化樹脂の用途開発に関する連携を開始~水上オートバイのエンジン部品に搭載するCNF強化ポリプロピレン製部品を共同開発~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)は、セルロースナノファイバー強化樹脂「Cellenpia Plas®(セレンピアプラス)」の用途開発に関し、ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市、代表取締役社長:日髙祥博、以下「ヤマハ発動機」)と連携を開始します。具体的には、ヤマハ発動機の水上オートバイの2024年モデルのエンジン部品にセレンピアプラス ポリプロピレンを使用した部品の搭載を目指して共同で開発を行います。搭載が実現すれば、セレンピアプラスの、ビジネスベースでの初の採用事例となります。(注1)

セレンピアプラス ポリプロピレンのペレット


CNF強化樹脂は、ポリプロピレンやナイロン6などの樹脂中へ、木質資源を活用したバイオマス素材であるCNFを均一分散することにより製造される高強度な新素材です。現在樹脂を利用している部材の軽量化が図れることに加えて、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減とCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながることから、自動車、建材、家電などの分野での利用が期待されています。

当社は、現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクト(注2)に参画し、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいます。2021年9月に、この助成金を活用して富士工場に建設した、混練を中心とする実証拡張設備は、年間50トン以上のCNF強化樹脂マスターバッチ(注3)を製造することができます。

また、CNF強化樹脂の設計、開発、製造について、当社は既にISO9001の認証を取得しており、マスターバッチの品質マネジメントを徹底しています。今後は安定して大量生産する製造技術の確立、品質向上、さらなるコストダウンを目指し、モビリティ部品を始めとする幅広い産業への用途開発を加速させていきます。

なお、当社では石巻工場でTEMPO酸化CNF(注4)を産業用途全般向けに、江津工場でカルボキシメチル化CNF(CM化CNF)(注5)を食品、化粧品用途向けに、それぞれビジネスベースで生産し、全国で販売しています。これに加えて、「CNF強化樹脂」の大量製造技術と本格的な供給体制を早期に確立することで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、新素材・CNFの市場創出を加速し、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策に貢献していきます。


(注1)2022年11月16日時点での見通し。サンプルワークを除く。

(注2) 「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/革新的CNF製造プロセス技術開発/CNF強化樹脂(PA6、PP)の低コスト製造プロセス技術の開発)」にUBE株式会社と共に参画 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101344.html 

(注3)CNFを高含有(30-50%)した樹脂。5~10%程度に希釈したのちに成形加工する。

(注4) セルロース(原料パルプ)をTEMPO触媒によって酸化し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅約3nmの非常に細いCNF

(注5) セルロース(原料パルプ)をカルボキシメチル化(CM化)し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅数nm~数十nmのCNF https://www.nipponpapergroup.com/products/cnf/ 


以上