森林資源のために責任ある原材料調達

紙・パルプの主要原材料である木材チップなどの木質資源は、地球環境や生態系と関わりの深い森林から供給されます。また、その調達には国内外のサプライヤーだけでなく、産地の地域社会や行政機関を含めた多くの人々が関与します。こうした社会への影響をふまえて、サプライヤーとともに産地の森林生態系や地域社会、労働安全衛生などに配慮しながら持続可能なサプライチェーンを確立していくことが重要です。
日本製紙グループは、再生可能な木質資源を持続的に調達できる体制・仕組みづくりに取り組んでいます。

原材料調達に関する理念と基本方針

日本製紙グループは2005年度に「原材料調達に関する理念と基本方針」を制定しました。制定に際しては、原案を公開して国内外のステークホルダーからご意見を募りました。いただいた2,000件近くのご意見の全てを社内で検討し、いくつかを原案の修正に採用させていただきました。

原材料調達に関する理念と基本方針(全文)(PDF:0.9MB)

原材料調達マネジメントの推進体制

日本製紙グループでは、日本製紙(株)の原材料本部長を委員長とする日本製紙グループ原材料委員会を設置しています。原材料の調達方針などグループ全体の原材料調達に関する重要事項を審議しています。

木質原材料調達の現状

日本製紙グループの主要製品は紙製品であり、その原材料の55%を古紙が占めています。残る45%が、主にパルプをつくるための木材チップなど木質資源です。
日本製紙(株)はグループの木質原材料調達を担っています。木質資源の64%を海外から、36%を国内で調達しています。海外材は広葉樹・針葉樹ともにオーストラリアを中心としたオセアニアからの輸入が一番多く、それぞれ37%、76%を占めています。

木質原材料調達の内訳



海外材の生産国および樹種

環境と社会に配慮した原材料調達の推進

日本製紙グループは「原材料調達に関する理念と基本方針」に基づき木材の合法性確認や人権、労働および地域社会、生物多様性保全への配慮を含むCSR調達を実践していくために、アクションプランを制定・実行しています。
このアクションプランは、海外材についてはトレーサビリティの充実、国産材については合法性証明に関する事業者団体認定の推進を柱としています。

木質原材料調達に関するアクションプランの詳細

海外材に関する合法性の確認とトレーサビリティの充実

海外のサプライヤーからの調達においては、船積み単位で「木材の伐採地域とサプライヤーが関連法規を順守しており、違法伐採材が含まれていないこと」について、関連書類で確認しています。2015年度に購入した輸入チップについては、各サプライヤーからの船積書類とアンケート調査により、違法伐採による材を含んでいないことを確認しています。
また、海外のサプライヤーに対して、アンケートおよびヒアリング調査を実施しています。森林施業に関連する法規とその順守、樹種、森林認証の取得の有無などの基本情報を確認するなど、トレーサビリティの充実を図りながら、木材の合法性と持続可能性を確認しています。

国産材に関する合法性の確認

2006年、グリーン購入法で木材の合法性証明に関するガイドラインが示され、合法性を証明する方法として、伐採届などの書類を個々に添付する方法と、その管理の仕組み全体を認定する事業者団体認定を取得する方法が定められました。
日本製紙木材(株)は、この事業者団体認定を取得しています。同社を通じて国産材を集荷することで、日本製紙(株)は合法性が確認された材の供給を受けています。

人権、労働および地域社会への配慮

日本製紙(株)は、取引をしているサプライヤーが人権や労働についての方針あるいはそれらに対処するシステムを持っており、人権や労働に関する問題は発生していないことをアンケートおよびヒアリングによって確認しています。また、サプライヤーの多くが、学校や福祉施設への寄付などの社会貢献活動を通じて地域社会との融和を図っています。

植林木・認証材の調達推進

日本製紙グループは、原材料調達が適切に行われていることを確認するツールとして森林認証制度を活用しています。認証林から産出された木質資源を原材料として調達することで、その原材料の適法性のみならず持続可能性を客観的に証明できることになります。

当社グループは、国内外すべての自社林で森林認証を維持継続しています。

輸入広葉樹チップにおける認証材の調達推進

日本製紙グループでは、輸入広葉樹チップの全てを植林木または認証材にするという目標を2009年に達成した後、新たにグリーンアクションプラン2015において「輸入広葉樹チップの全てを、PEFC材またはFSC®材とする」という目標を掲げました。これは、輸入広葉樹チップにおいて、森林認証制度におけるFM認証※を取得した森林から産出した材もしくはCoC認証※においてリスク評価が行われた材のみを調達することを目指すものです。
2013年度以降、引取量の100%がPEFCまたはFSC®材となっています。

  1. FM認証とCoC認証

    森林認証制度には、責任ある森林管理を認証するFM(Forest Management)認証と、認証された森林から産出された林産物の適切な加工・流通を認証するCoC(Chain of Custody)認証があります。FM認証では、(1)法律や制度枠組の順守、(2)森林生態系・生物多様性の維持・保全、(3)先住民・地域住民の権利の尊重、(4)森林の生産力の維持・向上などの項目を客観的な指標に基づき第三者が審査することで持続可能な森林管理が行われていることが認証されます。CoC認証は、林産物の加工・流通過程に関与する事業者を対象とした制度です。加工・流通の各プロセスで、認証を受けた森林から産出された林産物(認証材)を把握するとともに、非認証材のリスク評価が行われていることを認証し、一連のプロセスに携わる全事業者がCoC認証を受けている場合、製品に認証マークを表示できます。

国産材の活用

日本では第二次世界大戦後、スギ・ヒノキなどの造林がさかんに行われてきました。それらの森林を健全に育てるには間伐などの手入れが必要ですが、木材価格の低迷から林業の採算性が悪化して、適切な手入れがされないことによる森林の荒廃が懸念されています。森林の荒廃を防ぐには、国産材の利用を促して林業を活性化させ、植林・保育・伐採のサイクルを回すことが重要です。日本政府は「森林・林業基本計画」で2025年までに木材自給率50%を達成するとして、国産材の振興策を進めています。
日本製紙グループでは、製紙原料における国産材利用率を2010年度までに30%にするという目標を掲げて取り組みを進め、2008年度にこの目標を計画よりも早く達成。2015度の利用率は35.8%となっています。今後も国産材を積極的に活用し、国内林業の活性化に貢献していきます。

国産材利用率の推移