基盤技術研究所 植林技術

日本製紙の海外植林

現在のコア事業である紙・パルプの原料以外に、エネルギー用途、バイオケミカルなどの原料への利用も視野に入れ、海外植林事業を推進しています。

植林地生産性向上のための技術開発

基盤技術研究所では現地駐在員を派遣し、海外植林地のバイオマス生産性を増加させるための技術開発を行っています。中でもブラジルAMCEL社は植林可能面積が13.3万ha(既植林面積6.2万ha) と当社の単一植林事業としては最大規模となっており、挿し木クローン増殖による苗生産を用いた植林を行っています。

AMCEL植林地 空撮
AMCEL植林地 空撮
挿し木クローン増殖
挿し木クローン増殖

植林木成長性の早期向上

林地調査
林地調査

木材の安定確保と環境保全を目的として、AMCEL社において現地スタッフと一体となり、植林木の年平均成長量(MAI)の向上について、以下の取り組みを行っています。

  1. (1) 遺伝的改良
  2. (2) 木材分析法の開発
  3. (3) 生育環境の改良

植林木の遺伝的改良

試験林から優れた樹木を選び出し、挿し木クローンを作成(選抜育種)したり、それらを掛け合わせる(交雑育種)ことにより、より優れた樹木の開発に着手しています。またその中でゲノム解析やマーカー情報を応用し、親子鑑定やマーカー育種による、育種の効率化を目指しています。

ユーカリの交配

ユーカリの交配

選抜試験地の空撮

選抜試験地の空撮

クローン選抜木

クローン選抜木

DNA抽出

DNA抽出

遺伝子発現解析

遺伝子発現解析

DNA情報解析

DNA情報解析

木材分析法の開発

植林木の評価を迅速に行うために、測樹法の開発に取り組んでいます。また、品質評価をより迅速に行うため、顕微鏡観察、ピロディン法を用いた容積重、および近赤外法(NIRS)による木材成分など、木材分析方法等の開発に取り組んでいます。

3Dレーザースキャナによる測樹法開発

3Dレーザースキャナによる測樹法開発

顕微鏡観察

顕微鏡観察

分析サンプルの採取

分析サンプルの採取

ピロディン法による容積重測定

ピロディン法による容積重測定

NIRSによる材分析

NIRSによる材分析

NIRスペクトル

NIRスペクトル

生育環境の改良

改良した植林木が健全に生育できるように、土壌調査や生育試験を行い、大規模土壌センシングなど、モニタリング法の開発を行っています。また現地スタッフと協力して樹木の生育環境の改善を図っています。

土壌調査

土壌調査

大規模土壌センシング

大規模土壌センシング

生育試験

生育試験

生育調査

生育調査

衛星画像解析

衛星画像解析

現地スタッフとのディスカッション

現地スタッフとの
ディスカッション

国内植林への苗木の展開

成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹(注)を生産するため、大規模な採穂園を造成し、早期増殖の取り組みを始めています。スギ特定母樹とは、成長に優れ、花粉量が少ないなど、国によって定められた基準を満たし、農林水産大臣により指定されるものですが、配布本数以上の挿し木が困難で、増殖に時間がかかりました。これを当社独自の「光独立栄養培養技術」を用いて発根を促進し、短時間での増殖を可能としました。今後は、挿し木による独自のコンテナ苗生産を行い、需要動向に応じた増産、積極的な外販を進めることにより、社有林に限らない九州地区における苗木の安定供給、森林の確実な更新にも寄与していきます。

注 特定母樹
「森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(以下、間伐等特措法)」に基づき、森林のCO2吸収固定能力の向上のため、成長に係る特性に優れたものとして農林水産大臣により指定されたものです。特定母樹の指定基準としては、成長性(在来系統の概ね1.5倍以上)、雄花着生性(一般的なスギの花粉量のおおむね半分以下)及び、材質(剛性、幹の通直性)があります。

造成したスギ特定母樹の採穂園

造成したスギ特定母樹の採穂園

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