お知らせ日本野鳥の会とシマフクロウの生息地保全に関する覚書を更新 ~シマフクロウの行動実態に合わせ内容を見直し、生物多様性保全と木材生産事業の両立を強化~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、社長:野沢 徹、以下「当社」)は、2015年5月に公益財団法人日本野鳥の会(東京都品川区、会長:上田 恵介、以下「日本野鳥の会」)と締結した、当社が北海道・道東に所有する森林(約1,986ヘクタール、注1)における、「シマフクロウ(注2)の生息地保全と当社木材生産事業の両立に関する覚書」を見直し、2024年2月に更新しました。

シマフクロウは国の天然記念物であり、環境省のレッドリストで絶滅危惧種ⅠA類に指定されています。

食物連鎖の頂点に立つ動物のひとつであるシマフクロウが生息する森は、生物多様性に富み、自然環境を保護する重要性が高い地域とされています。当社は、約90年の歴史をもつ環境NGOである日本野鳥の会と、2010年10月にシマフクロウを含む野鳥保護を目的とした協定を締結して以来、当社が道東に保有する複数の森林でシマフクロウの生息地を保全する協働を行っています。

シマフクロウ(画像提供:(公財)日本野鳥の会)



なお日本政府は2021年のG7サミットで、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全する「30by30」を公約しましたが、この達成には国立公園等すでに保護されている地域に加え、民間企業の所有森林等でも企業活動と生物多様性保全の両立が必須となります。

今回対象となる森林は、2005年にSGEC認証(注3)を取得しており、木材生産をしながら生物多様性にも配慮した持続可能な森林経営を行っています。2015年に締結された覚書は、シマフクロウの生息地保全と木材生産との両立を目的として、営巣木周辺で当社が行う森林施業への配慮について具体的な基準を明文化したものです。2023年6月には、当該森林に設置した巣箱で孵化したシマフクロウの雛が無事巣立っており、取り組みの成果は着実に現れています。今回の覚書更新は、当該森林におけるシマフクロウの行動に関するデータのこれまでの蓄積を基に、シマフクロウ生息地の保全範囲を実態に合わせた内容に見直すことで、生物多様性の保全と木材生産事業との両立の更なる強化を目指したものです。

当社は「木とともに未来を拓く®」のスローガンの下、今後も生物多様性の保全やステークホルダーとの連携を通じて「ネイチャーポジティブ(注4)」の実現に資する価値を提供することで、持続可能な社会づくりに貢献していきます。


注1:シマフクロウ保護の観点から、具体的な場所、地名などの情報は明らかにしておりません。

注2:シマフクロウは全長70-80cm、世界最大級のフクロウです。日本ではかつて北海道全域に分布していましたが、現在は北海道中東部で約100つがいの生息が確認されるのみとなっています。

注3:日本の森林資源の特性に対応する日本独自の第三者森林認証制度で、2003年に発足しました。(http://www.sgec-eco.org/index.html

注4:自然を回復軌道にのせるために、生物多様性の損失を止めて反転させること。

(添付資料)日本野鳥の会プレスリリース「日本製紙株式会社との協働を強化」

以上