海外植林
持続可能な森林経営
地域と共存する植林事業
日本製紙グループは、植林地周辺の地域社会と良好な関係を築き、ともに発展していくことが重要であると考えています。森林経営にあたっては、「原材料調達に関する理念と基本方針」に基づき、地域住民、地域の文化・伝統と自然環境・生態系に配慮しています。また、雇用の創出や教育活動への援助などを通じて地域経済にも貢献しています。
地域生態系に配慮した植林事業
当社グループは、草地、農場・牧場の跡地や植林木の伐採跡地を植林地として利用しています。また生長の早いユーカリを中心に、各地の気候と製紙原料に適した樹種を選んで植栽しています。ユーカリの一斉植林と域内の生物多様性の維持を両立するために、生態系への影響が大きい河川沿いの原生植生を水辺林として残すなど、適切な処置をしています。
代表的な海外植林事業

Amapá Florestal e Celulose S.A. (AMCEL) アムセル
AMCELは、植林やチップ輸出事業などを行っている日本製紙の関連事業の中で最大の植林可能面積を持つプロジェクトです。現在は日本郵船がパートナーに加わっています。
事業対象地はブラジルのアマパ州。植栽樹種はユーカリ・ユーログランディスです。現在日本製紙の研究部門が中心となって、精英樹の選抜、育成に取り組んでいます。
海外植林事業での森林認証取得状況
独自技術による植林地の生産性向上
当社グループは、独自の育種・増殖技術をさらに強化して森林の生産性の向上を図り、海外植林地におけるCO2固定効率を向上させています。
当社グループの植林技術についてはこちら
植林のサイクル

当社の海外植林地では主にユーカリを植えていますが、ユーカリは植栽後早ければ6年で製紙用として充分な大きさに生長します。伐採は計画的に行い、伐採後の土地に新しく植栽する方法や、切り株から生える芽を育てる萌芽(ぼうが)更新と呼ばれる方法で森を再生します。
国によって植林の作業方法は様々ですが、ここではオーストラリアの10年伐採サイクルでの例を紹介します。
植林のステップ
STEP01 植栽準備作業(植え付け1年目の5月頃)
雨期に入る5月頃、地面をほぐし、畝(うね、筋状の盛土)を作る耕耘作業を行います。
写真のように、マウンダーと呼ばれる器具をトラクターで牽引して、土をかき起こし、畝を作ります。
所有地内であっても、水路や原生植生のある箇所は、地域の生態系に影響を与えないよう、手をつけずに保護します。苗畑では植栽に必要な苗を、雨期の出荷に向けて計画的に育てます。

畝作り作業

出荷を待つユーカリ苗
STEP02 植栽作業(6~8月頃)

植栽作業
雨期の6~8月頃(オーストラリアの冬にあたります)に植栽を行います。 プランティングチューブと呼ばれる植栽器具を使って、畝に1本1本人の手によって植え付けます。1人で1日あたり2~3千本、ベテランは6~8千本ほど植栽します。
STEP03 保守作業(植栽後~約10年間)

植栽後1年(約2.5m)
植栽した苗は夏の日差しを浴びてすくすく育ちます。当社が海外植林地で主に植栽するユーカリという樹種は1年間で3~4mも生長しますが、植栽直後はか弱く、雑草や色々な病虫害から保護しなければなりません。 また、夏の乾期には火災の心配もあり、様々な問題の早期発見のためにも定期的な巡回は欠かせません。
STEP04 伐採作業(植栽約10年後)
約10年で樹高が20mを超えるほどに生長した木をハーベスターと呼ばれる重機などを使って伐採します。
伐採された丸太は皮を剥いた後で、植林地やチップ工場に設置したチッパーと呼ばれる機械で製紙用チップに加工されます。

ハーベスターを使った伐採作業

木材チップ(1片約2~3cm)
STEP05 更新
通常、初めての伐採後と2度目以降の伐採後で、更新の方法が異なります。
初めての伐採後 萌芽更新

切り株からの萌芽
オーストラリアなどで主に植栽されているユーカリ・グロビュラスという樹種は伐採後の切り株から芽が生えてきます。 この芽を育てる萌芽更新と呼ばれる方法で森を再生します。
2度目以降の伐採後 再植林

植栽作業
通常2度目の伐採後は萌芽更新ではなく、再び植栽をすることで森を再生します。 また、1度目の伐採時に生長が良くなかった場合やアカシアのように萌芽しにくい樹種の場合も、萌芽更新を行わず、植栽により再生します。
海外植林Q&A
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どうしてユーカリを植林するのですか?
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私たちが植林を行う目的は、製紙原料となる持続可能な森林資源を自らの手で造成することです。そのため植栽樹種については、成長が早く、パルプ化適性に優れた樹種を選択することが必要になります。ユーカリはこのような条件にあった代表的な樹種です。
パルプ化適性・・・木材チップを蒸解し、紙の原料となるパルプを製造しますが、蒸解のし易さ、木材繊維量の多さから、パルプ化適性を判断します。パルプ化適性は樹種によって大きく異なり、同じ樹種でも樹齢や植栽地によって適性が異なることもわかっています。
植林に使われる樹種
・ユーカリ・グロビュラス
パルプ化適性に優れ、原産地のオーストラリアの他、同じ気候帯に属するチリなどにも植栽されています。・ユーカリ・グランディス
グロビュラスに比べて、温暖な地域を好みます。・アカシア・メランシー
グランディスとほぼ同じ生育環境を好みます。パルプ化適性に優れ、樹皮からはタンニンが採れます。ユーカリの仲間と異なり、伐採後はほとんど萌芽せず、再植が必要です。・ユーカリ・ユーログランディス
ユーカリ・ユーロフィラとユーカリ・グランディスをかけ合せたハイブリッド種です。私たちは植林を進めることによって、製紙原料となる森林資源を環境に負荷を与えることなく持続的に確保することを目指します。
ユーログランディスの苗
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どのような場所に植林しているのですか?
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私たちの植林事業では、農場や牧場の跡地、植林木の伐採跡地等に植林を行っています。写真はオーストラリアの植林地で、水辺に天然林が残されていることがわかります。
例えば西オーストラリアでは、水辺の天然林が塩害防止等地域の環境に対し重要な役割を担っています。これら天然林が発揮する機能を損なうことがないよう、環境への影響を充分に考慮しながら、私たちは植林事業を進めています。BTP社植林地
(黄線の内側が水辺)
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収穫した後の植林地はどうするのですか?
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植物は再生能力を持っており、伐採された後であっても植物体内にある芽(休眠芽、不定芽)を伸ばし、その芽が成長を続けやがて主幹になります。このような芽を萌芽(ぼうが)と呼び、萌芽により森林が再生することを萌芽更新と呼びます。
特にユーカリ・グロビュラスは萌芽しやすい性質を持つため、萌芽によって更新させていきます。 萌芽したばかりの芽は環境の影響を受けやすく、強風や霜が降りた時等には、ダメージを受ける場合があります。萌芽更新がうまくいかないような場所や、アカシア等萌芽しにくい樹種については、再植林して更新させていきます。切り株からの萌芽
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植林木の生長量はどれくらいですか? (日本と比較して)
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平均的な森林の蓄積量は、オーストラリアの10年生のユーカリ・グロビュラスで200m3/ha前後、国内の40年生のスギで200-300m3/haです。
これを単年の生長量で比較すると、ユーカリ・グロビュラス20m3/haに対し、スギは5-8m3/haとなり、およそ2~4倍の開きがあることがわかります。国内のスギ(約60年生)
オーストラリアのユーカリ
(約10年生)


