資源循環の推進
将来世代につなぐ持続可能な社会を築く上で、限りある資源の有効活用と循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現が不可欠です。日本製紙グループは、総合バイオマス企業として、「3つの循環」の考え方を事業活動の根幹に据え、資源の有効活用と積極的な循環の両立を推進しています。
私たちは、以前からステークホルダーと協働で紙のリサイクル推進に取り組むと同時に、バリューチェーン全体で、資源の効率的な利用と廃棄物の削減に取り組んできました。今後も、「3つの循環」を基本とし、木から新たな循環型素材を生み出すことで、循環経済を支える社会の一員としての役割を果たしてまいります。
方針
当社グループは、「日本製紙グループ環境憲章」の理念のもと、循環型社会の形成への貢献を宣言し、循環型社会の実現に向けて、積極的な資源の循環利用の促進に取り組んでいます。環境経営の中期目標である「日本製紙グループ環境目標2030」では、「資源の循環利用を促進する」を掲げ、具体的な数値目標を設定して進捗を管理しています。
指標と目標
当社グループは、古紙を重要な原材料と位置付け、未利用古紙のリサイクルに取り組んでいます。特に、高品質・高白色パルプの生産が可能な食品・飲料用紙容器の再資源化設備を稼働し、紙・板紙・家庭紙など幅広い分野での製紙原料化を推進し、2030年度までに未利用難処理古紙の利用量を12,000トンまで拡大することを目標として掲げています。
未利用難処理古紙利用量
2024年度は、使用済み紙コップや剥離紙などの難処理古紙のリサイクル活動を拡大することで、グループ全体で11,908トンの未利用難処理古紙を活用しました。今後も、分別回収リサイクルシステムの構築や水平リサイクル・アップサイクルなど資源循環で持続可能な循環型社会の構築に貢献するとともに新たなスタイルのビジネス構築を目指します。
事例:食品・飲料用紙容器の再資源化設備稼働
2022年に当社富士工場にて食品・飲料用紙容器類の古紙からリサイクルパルプを製造する専用設備を、2023年に関東地区にて破砕洗浄設備をそれぞれ稼働させ、精度高く分別された食品・飲料用紙容器類由来の古紙を原料に利用することによる高品質・高白色度のリサイクルパルプ製造が可能となりました。本設備で生産されるリサイクルパルプの特徴を活かし、付加価値の高いさまざまな紙製品への再生利用を進めることで、使用済み紙容器リサイクルの普及に努め、新たな資源循環ビジネスの構築を進めます。
事例:日本航空、東罐興業との三社協働による紙コップリサイクル
当社は2022年より、日本航空株式会社(以下「JAL」)と紙コップ等のリサイクルにおける協働を継続しています。JALグループが一部国内線の機内サービスで使用した紙コップ等を適切に分別・回収し、当社グループが輸送・集積・梱包を行う独自のルートを構築しています。当初は段ボール原紙等へのリサイクルに限定していましたが、さらなる取り組みとして、紙コップメーカーである東罐興業株式会社との三社協働により、2024年に「紙コップから紙コップへ※1」の水平リサイクルを国内で初めて※2実現しました。
原料の一部に使用済み紙コップ等を含む再生紙を使用
当社調べ
事例:レストランやスポーツイベントなどでの紙容器リサイクル
当社は2024年より日本マクドナルド株式会社と協働し、埼玉県内の4店舗で使用済み紙コップを回収しリサイクルする取り組みを開始しました。
東京マラソン2025では走者およそ4万人が使用した紙コップを回収しリサイクルしました。全国各地で開催されるマラソン大会でも同様のリサイクルを進めています。
さらに、プロバスケットボールチームのアルバルク東京(B.LEAGUE)の試合会場でも、使用済み紙容器の回収とリサイクルを開始しました。このように、さまざまな場面で難利用古紙の資源化とリサイクル紙製品の提供を通して環境課題の解決に向けて取り組んでいます。
また、未来のリサイクルを担う子どもたちの意識醸成を目的としたKANDO株式会社との取り組みも継続し、将来のリサイクル率向上を目指しています。
事例:“choito®”を軸とした、使用済み紙容器のアップサイクルプロジェクト
当社グループは、2024年に使用済みの食品・飲料用紙容器を原料の一部に使用した紙糸からつくる布製品ブランド“choito®”を立ち上げました。回収された使用済み紙容器を当社富士工場にて高品質なリサイクルパルプに再生し、そのパルプを用いた紙糸を使い、タオルやエプロン等の布製品の提供を開始しました。これまでに、日本航空株式会社、株式会社 京橋千疋屋およびUCCグループからの要望に応じて、オリジナルタグや刺繍を施したデザインの製品を販売しています。
本プロジェクトを通じて多くの事業者との協働を促進し、これまで廃棄されていた使用済紙容器類のリサイクル拡大に貢献していきます。
事例:「クローズド・ループ」の取り組み
回収された新聞古紙やカタログ用紙を長期的かつ安定的に原料として資源循環させるため、当社は、お客さまが回収した古紙を直接買い受ける「クローズド・ループ」というスキームを構築しています。2023年4月には、新たに株式会社DINOS CORPORATIONと、カタログ古紙の「クローズド・ループ」の構築による資源の国内循環を目的として、古紙の売買および循環に関する契約を締結し、運用を開始しました。
事例:栗田工業との“環境にやさしい”紙おむつの共同開発
国内で発生する使用済紙おむつのほとんどは、一般・産業廃棄物処理施設で焼却処分されています。高齢化社会の進行などに伴い、使用済紙おむつの発生量は、今後も増加が予想されるため、再資源化への要請が高まっています。当社グループの日本製紙クレシアは、栗田工業株式会社(以下「栗田工業」)と共同で、“環境にやさしい”紙おむつの開発を進めています。
本開発では、日本製紙クレシアが紙おむつ製品に係る情報を、栗田工業が開発した「クリタサムズシステム®」で分別処理した際の情報を出し合い、分別処理されたプラスチック・パルプ類のマテリアルとしての品質向上につながる紙おむつの製品仕様を検討しています。本開発を通じ、循環型社会の構築や脱炭素社会の実現に寄与することで、持続可能な社会へのさらなる貢献を目指します。
【クリタサムズシステム®を利用したリサイクルフロー】
事例:草加市にてティシュー空き箱リサイクルの実証実験を開始
当社グループの日本製紙クレシアは埼玉県草加市と「循環型社会の形成に関する取組に係る協定」を締結し、2024年4月から市内5ヶ所の公共施設で「ティシュー空き箱リサイクル実証実験」を開始しました。回収した空き箱は当社グループで段ボール原料などに再利用し、回収量に応じて市内小中学校にトイレットロールを提供します。また、回収した空き箱の一部は雑紙保管袋に生まれ変わり、草加市内の小学校へ配布し、リサイクルの理解を深めていただきました。今後も連携を強化し、紙のリサイクル推進と持続可能な社会への貢献を目指します。
詳細情報は、以下のPDF資料でもご覧いただけます。

