ニュースリリース漢方薬や医薬品の原料となる薬用植物の増殖技術を開発東洋医学への関心の高まりとともに国内・海外ともに需要が増大
~独自技術により挿し木苗の効率的な生産が可能、薬用植物の国内栽培普及を後押し~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(社長:芳賀 義雄)はこのたび、挿し木増殖が難しいとされている薬用植物のうち12種(マオウ属、チョウジ等/注1)について、日本製紙が持つ独自の発根技術を応用し、挿し木による増殖技術を開発しました。

薬用植物は古来、漢方薬や医薬品の原料として活用されてきましたが、近年、日本独自の伝統医学「漢方」を含む東洋医学への関心の高まりとともに、中国や欧米における薬用植物の需要が増大しています。日本国内においても、健康意識の向上を背景に漢方が注目され、多く利用されるようになってきました。しかしながら、日本国内で使用されている薬用植物は80%以上が中国からの輸入に依存しているとされ、一方、薬用植物の乱獲が砂漠化や資源の枯渇を招くとして中国では一部の薬用植物について輸出規制が行われるなど、中国産生薬は価格が高騰する傾向にあります。日本国内での薬用植物の栽培も検討されていますが、挿し木増殖が難しい植物種が多く、一部植物種の栽培に留まっていることから、薬用植物の安定的な調達が社会的な課題となりつつあります。

そこで、日本製紙は、国内有数の薬用植物の研究機関である「独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター」から薬用植物の地上部(茎葉)の譲渡を受け、独自に開発した発根技術である「光独立栄養培養技術」(注2)を応用し、増殖に取り組みました。その結果、このたび12種の薬用植物にて十分な発根を確認することができました。

今回、薬用植物を増殖させる技術を確立したことにより、これまで挿し木増殖は難しいとされてきた薬用植物の挿し木苗を今後効率的に生産することができるようになります。更に、薬用成分を多く含む優良系統を選別し増殖することも可能になります。日本製紙はこの技術を広く活用し、薬用植物の国内栽培の普及に貢献してまいります。

  1. 注1発根を確認した薬用植物(別紙1)
    マオウ属、トゲナシノイバラ、オオアマチャ、バニラ、ズボイシア、センブリ、シナジンコウ、ダマスクバラ、トチュウ、ミラクルフルーツ、トウオガタマ、チョウジ
  2. 注2光独立栄養培養技術(別紙2)
    組織培養でエネルギー源となる糖の替わりに高濃度の二酸化炭素と水と光を施用することで植物自身が持つ光合成能力を引き出す培養方法。

以上