ニュースリリース富士工場で、CNF強化樹脂の実証生産設備が稼働~量産化技術と補強材料としての用途開発を加速~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(社長:馬城 文雄)は、富士工場(静岡県富士市)に、セルロースナノファイバー(以下「CNF」)を樹脂に混練することにより得られる「CNF強化樹脂」の実証生産設備の建設工事を進めてまいりましたが、本年6月末に計画通りに完工し、このたび稼働を開始しました。



  

原料パルプの疎水化設備            CNF強化樹脂混練設備


CNFは、ポリプロピレンやポリエチレン、ナイロンなどの樹脂への混練により、樹脂を高強度化する新素材として、自動車、建材、家電などでの利用が期待されています。
当社は、京都大学を拠点として実施されている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト(注1)に参画し、CNF強化樹脂の開発に取り組んできましたが、このたび富士工場に建設した実証生産設備は、NEDOプロジェクトで得られた知見を基に、年間10トン以上のCNF強化樹脂を製造することができます。今後、さらなる量産化を目指した製造技術の確立を目指すとともに、自動車産業のほか幅広い産業へのサンプル提供により、用途開発を加速させてまいります。
なお、本年、当社は4月に石巻工場(宮城県石巻市)で、TEMPO触媒酸化法(注2)により完全ナノ分散したCNFを生産する、世界最大級の量産設備(年間生産能力500トン)を稼働させました。これにより、機能性シートをはじめ、機能性添加剤やナノ複合材など、幅広い工業用途での利用を進めています。
また、今回の富士工場に続き、9月には江津工場(島根県江津市)で、食品や化粧品など添加剤用途のCM化CNF(注3)の量産設備を稼働する予定です。

当社は、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、用途に応じたCNFの製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、新素材・CNFの市場創出を加速してまいります。


(注1)「非可食性植物由来化学製造プロセス技術開発 高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」 http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100536.html

(注2)東京大学大学院農学生命科学研究科 磯貝 明教授らが開発した、TEMPO触媒によるセルロースの化学変性方法。これにより、パルプが解繊しやすく均一な幅のナノファイバーを得られる。

(注3)食品添加物として既に販売されているカルボキシメチルセルロース(CMC)の製造技術を用いて化学変性した木材パルプから得られた、繊維幅が数nm~数十nmのミクロフィブリルセルロース。



以上