ニュースリリース鳥取県にスギ・ヒノキ特定母樹の「倉吉閉鎖型採種園」を開設~エリートツリー等の苗生産事業拡大に向け、採種園を竣工~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢 徹、以下「当社」 )は、CO2吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つ、エリートツリー等※1の苗生産事業の拡大に向け、鳥取県にスギ・ヒノキ特定母樹の「倉吉閉鎖型採種園」を10月28日に竣工し、同日から稼働を開始します。

当社は、本年1月までに、林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域(国内7区域)のうち、三区(静岡県)、四区(鳥取県、広島県北部)、五区(広島県南部)、六区(大分県)の4県において、間伐等特措法に基づくスギ・ヒノキのエリートツリー等の増殖に係る「特定増殖事業計画」を申請し、各県で「特定増殖事業者」としての認定を受けました。

その後、エリートツリー等の苗生産に必要な種子や穂木を生産するため、採種園・採穂園の造成に取り組んできましたが、このたび、鳥取県及び、鳥取県山林樹苗協同組合の多大なるご協力を受け、本州で当社初の特定母樹採種園の開設に至りました。本採種園では、外来花粉の侵入を防ぎ、特定母樹同士による確実な交配を行うため、温室を用いる閉鎖型を採用し、人工交配を行っていきます。2023 年2 月から人工交配を開始し、種子の初収穫は同年10 月を見込みます。得られた種子を利用して、2024年から苗木生産を開始し、同年秋以降の苗木出荷を目標にしています。今回造成した2棟の閉鎖型採種園からは最終的には年間で苗木10万本分の種子生産を行う計画で、今後更なる施設拡大も検討していきます。

エリートツリー等の苗生産事業に関して、当社は地元の山林種苗協同組合員や新規生産者との協業体制の構築を最優先に取り組んでいきます。本採種園の竣工を皮切りに、鳥取県と同じく特定増殖事業者の認定を受けた、静岡県、広島県でも2022年11月までに採種園を、大分県では2023年3月までに採穂園を順次開設していく予定です。また、当社は国内に約400カ所、総面積約9万ヘクタールの社有林を保有する大規模森林所有者であり、林野庁が掲げる林業用苗に占めるエリートツリー等の割合を2030年までに3割、2050年までに9割以上を目指す方向性に沿い、「社有林のエリートツリー化」を掲げ、これにより、国の目標達成に貢献するとともに、自社社有林の価値の向上を図ります。

当社は「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、引き続き、当社のグリーン戦略に基づいて森林の持つ様々な価値を最大化させつつ、バイオマス製品の普及を進め、循環型社会の構築に貢献していきます。

【施設概要】

■名称 :日本製紙株式会社 倉吉閉鎖型採種園

■所在地 :鳥取県倉吉市大谷茶屋883-85(県有地を借地)

■仕様 :温室2棟(間口7.2m×奥行23m×高さ5m ×2棟)

■規模 :苗木10万本分の種子を毎年生産(今後、順次温室を増設し、生産量を拡大予定)

■特徴 :人工交配の時期は温室を閉め切り、開花促進と外来花粉の防除により、特定母樹同士の確実な交配が可能。また、根圏制御栽培法※2で母樹を管理するため、早期採種・安定生産を見込む。

※1 エリートツリー等

特定母樹由来の苗木を指す。特定母樹とは間伐等特措法において、森林のCO2吸収固定能力の向上のため、成長に係る特性の特に優れたものとして農林水産大臣により指定されたもの。指定基準は、成長性が在来系統と比較して1.5倍以上、花粉量が一般的なスギ・ヒノキの半分以下、幹の通直性の曲がりがないものなど。

※2 根圏制御栽培法

早期多収を目的に果樹分野で実用化されている栽培法。スギ・ヒノキ共に鉢等に定植し、根圏を制御しながらストレスを与えて栽培することで早期採種・安定生産が可能となる。

以上