ニュースリリース秋田県でエリートツリー苗生産に向けた「特定増殖事業者」の認定を取得~2030年1000万本生産体制構築に向け、秋田県でも閉鎖型採種園を開設~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)は、CO2吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ないなどの特徴を持つスギやヒノキのエリートツリー等※1の苗生産事業拡大に向け、秋田県でも「特定増殖事業者」※2の認定を取得しました。林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域(国内7区域)※3のうち、一区では初めての取得となり、本年10月を目途に、同県内に閉鎖型採種園を開設します。


当社グループは、国内7区域のうち、これまでに、静岡県(三区)、鳥取県・広島県北部(四区)、広島県南部(五区)、熊本県・大分県(六区)で認定を受けて採種園・採穂園※4を開設し、地元の山林種苗協同組合員や新規生産者との協業によりスギやヒノキ等のエリートツリー苗の生産体制の整備を進めてきました。今回、秋田県での年間15万本分の種子生産に加え、昨年開設した鳥取県の閉鎖型採種園でも20万本分の増産を決定したことから、国内における当社のエリートツリー苗の生産能力は年間160万本に達し、2030年1000万本の生産体制構築に向け、一層、取り組みを加速していきます。


花粉症の有病率は4割超にのぼり、社会問題となっていること等から、政府が5月30日の「花粉症に関する関係閣僚会議」で、10年後には花粉の少ないスギ苗木の生産割合をスギ苗木全体の9割以上に引き上げる方針を打ち出しました。当社グループが生産するスギのエリートツリー苗は、花粉量が一般的なものに比べ半分以下で、例えば九州では1%以下の品種を中心に供給しています。このように、当社のエリートツリー苗の生産拡大は今後の花粉症対策に大きく貢献できます。


花粉症対策に留まらず、エリートツリーの普及により、国内におけるCO2吸収源の拡大や林業の再生といった社会課題の解決にも貢献します。苗の外販とともに、国内に約400カ所、総面積約9万ヘクタールの社有林を保有する大規模森林所有者である当社は、自社の社有林の再造林地にも順次植林していくことで投資回収の効率性改善を図ります。エリートツリー普及拡大に向けて、日本製紙グループでは、当社のみならず、日本製紙木材、日本紙通商など、グループ企業横断で苗木事業拡大プロジェクトを発足し、取り組みを強化していきます。


当社は、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、当社のグリーン戦略に基づいて森林の持つ様々な価値を最大化させつつ、バイオマス製品の普及を進め、循環型社会の構築に貢献していきます。

※1 エリートツリー等

間伐等特措法において、森林のCO2吸収固定能力の向上のため、成長に係る特性の特に優れたものとして農林水産大臣により指定された特定母樹由来の苗木(特定苗木)を指します。特定母樹の指定基準は、成長性が在来系統と比較して1.5倍以上、花粉量が一般的なスギ・ヒノキの半分以下、材の剛性にも優れ、幹の通直性の曲がりがないものなどが挙げられます。


※2 特定増殖事業者

間伐等特措法の基本方針に定められた特定増殖事業の実施方法に関する事項に基づいて、成長に優れた種苗であるエリートツリー等の増殖に関する計画(特定増殖事業計画)を作成し、都道府県知事の認定を受けた事業者を指します。


※3 林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域 林業種苗法では、造林の適正かつ円滑な推進を図るため種苗の配布区域を定めています。配布区域とは、一定の区域で自然条件から見て育成に適すると認められた区域であり、スギでは国内7区域に分けられています。


※4 採種園・採穂園

採種園とは、種子を生産することを目的として母樹を植栽し、種子を採種しやすく仕立てた樹木園です。採種園より得られた種子を播種して実生苗を生産します。当社グループが整備を進める閉鎖型採種園では、ビニールハウス内で人工交配を行うことで、エリートツリー同士の確実な交配を行い、従来の露地での開放型に比べ、エリートツリーの特徴が十分に引き継がれた種子の早期生産と生産量増加が可能となります。一方、採穂園は、挿し木苗生産のための穂木を得る事を目的として母樹を植栽した樹木園です。




以上