ニュースリリースCNF配合天然ゴムCellenpia ElasTM(セレンピアエラスTM)
サンプル提供開始
~シングルナノサイズCNFの均一分散により天然ゴムの強度物性を大幅に向上~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)は、繊維幅がシングルナノサイズであるTEMPO酸化セルロースナノファイバー(CNF)を同じく木材成分由来である天然ゴム中に均一分散することで弾性率と燃費性能を両立させたゴムマスターバッチ「Cellenpia ElasTM(セレンピアエラスTM)」の開発に成功し、サンプル提供を開始しました。12/7~9に東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2022」、および幕張メッセで開催される「サステナブル マテリアル(SUSMA)展)」 での展示を予定しています。



天然ゴムは、伸縮性(伸び)や耐摩耗適性に優れ、かつ柔らかい特性を持つ素材であり、世界で約1,400万トン/年が生産され、タイヤ、ホース、ベルト等各種用途に使用されています。ゴムの強度を高めるために、通常、カーボンブラック等を配合しますが、近年、化石燃料由来素材であるカーボンブラックの代わりに、再生可能な天然素材であるCNFをゴム添加材として使用する研究が、産官学民で盛んに行われてきました。

ゴムとCNF混合物に関しては、当社はまず、2019年に住友ゴム工業株式会社、三菱ケミカル株式会社と共同で、シングルナノサイズの水分散体であるTEMPO酸化CNFを配合したタイヤ用ゴムを開発し、住友ゴム工業株式会社の高性能タイヤ「エナセーブ NEXTⅢ」に採用されました(注1)。また、現在は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクト(注2)に参画し、CNF配合エラストマーの製造プロセスのコスト低減に取り組んでいます。そして、今回はCNFメーカーである当社がCNFとゴムを均一分散し、マスターバッチの形で提供する「Cellenpia ElasTM(セレンピアエラスTM)」を開発するに至りました。「Cellenpia ElasTM(セレンピアエラスTM)」は、直接、各種ゴムとドライ混練することができ、ハンドリングよくゴム製品の物性を向上させることができます。一般的にゴム材料に使用されているカーボンブラックを充填材とした天然ゴムに対して、セレンピアエラスは弾性率(硬さの指標)を同等とした場合にtanδ(損失正接)が約20%低下し、タイヤやゴムベルト用途で使用した場合に燃費性能の向上が期待されます。※                                   ※図1「弾性率とtanδ(損失正接)の関係」参照

なお、当社では石巻工場でTEMPO酸化CNF(注3)を産業用途全般向けに、江津工場でカルボキシメチル化CNF(CM化CNF)(注4)を食品、化粧品用途向けに、それぞれビジネスベースで生産し、全国で販売しています。また、富士工場においては、CNF強化樹脂「Cellenpia Plas®(セレンピアプラス®)」を実証生産中でヤマハ発動機株式会社と連携して部品開発を行うとともに、各ユーザーへのサンプル提供を実施中です(注5)。今回、これに加えて、CNF配合天然ゴムである「Cellenpia ElasTM(セレンピアエラスTM)」のサンプル供給体制を整えることで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、新素材・CNFの市場創出を加速し、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策に貢献していきます。

(注1)日本製紙ニュースリリース 世界初、CNF「セレンピア®」がタイヤに採用

https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2019/news191025004604.html

(注2) 「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/量産効果が期待されるCNF利用技

術の開発)」に住友ゴム工業株式会社と共に参画


(注3) セルロース(原料パルプ)をTEMPO触媒によって酸化し、軽微な解繊によって製造したCNF

繊維幅約3nmの非常に細いCNF


(注4) セルロース(原料パルプ)をカルボキシメチル化(CM化)し、軽微な解繊によって製造したCNF

繊維幅数nm~数十nmのCNF

https://www.nipponpapergroup.com/products/cnf/ 


(注5) 日本製紙ニュースリリース「ヤマハ発動機とCNF強化樹脂の用途開発に関する連携を開始」

https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2022/news221116005347.html

以上