ニュースリリースCNF強化樹脂がヤマハ発動機の水上オートバイ部材に採用~輸送機器部品での量産品として世界初の採用事例~

日本製紙株式会社

日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:野沢徹、以下「当社」)が製造販売するセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂「cellenpia®PLAS (セレンピア®プラス)」が、ヤマハ発動機が北米で販売を開始した水上オートバイ「ウェーブランナー」およびウォータージェット推進機を搭載する「スポーツボート」の2024年モデルに採用されました。CNF強化樹脂を用いた輸送機器部品の量産化は、世界初(注1)の事例となります。

このたび量産化されたCNF強化樹脂部品は、ヤマハ発動機との協業によって開発を進め(注2)、エンジン部品の一部である"エンジンカバー"に採用されました。ヤマハ発動機では、将来的にはマリン製品のみならず、種々のCNF活用を視野に入れ、二輪車などを含めた幅広い製品群への展開を検討しています。

CNF強化樹脂は、木質資源を活用したバイオマス素材であるCNFを、ポリプロピレンなどの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度な新素材です。既存樹脂材料と比較し、25%以上の軽量化が図れることに加えて、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減とCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながります。

当社は、現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクト(注3)に参画し、CNF強化樹脂の大量製造技術と本格的な供給体制の確立に向け検討を進めています。2021年9月に、この助成金を活用して富士工場に建設した混練を中心とする実証拡張設備は、年間50トン以上のCNF強化樹脂を製造することができます。さらに、CNF強化樹脂の設計、開発、製造について、当社は既にISO9001の認証を取得しており、強化樹脂の品質マネジメントを徹底しています。

今後は安定して大量生産する製造技術の確立、品質向上、さらなるコストダウンを目指し、モビリティ部品を始めとする幅広い産業への用途開発の加速、CNF強化樹脂の製造量の拡大を進めていきます。

<セレンピア®プラス>

セレンピア®プラスは、京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授や京都市産業技術研究所等が開発した革新的なCNF製造技術"京都プロセス" (注4)をベースに、当社独自の分散技術を加えて開発した強化樹脂です。ポリプロピレン(PP)やナイロン6(PA6)などの熱可塑性樹脂中に製紙用のセルロース繊維を分散・解繊しています。

当社は石巻工場でTEMPO酸化CNF(注5)を産業用途全般向けに、江津工場でカルボキシメチル化CNF(CM化CNF)(注6)を食品、化粧品用途向けに、それぞれビジネスベースで生産し、全国で販売しています。これに加えて、「CNF強化樹脂」の実用化を進めることで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、新素材・CNFの市場創出を加速し、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策に貢献していきます。

(注1)当社およびヤマハ発動機調べ

(注2)ヤマハ発動機とCNF強化樹脂の用途開発に関する連携を開始 https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2022/news221116005347.html

(注3)NEDO助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/革新的CNF製造プロセス技術の開発/CNF強化樹脂(PA6、PP)の低コスト製造プロセス技術の開発」にUBE株式会社と共に参画 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101344.html 

(注4)NEDO委託事業「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/木質系バイオマスから化学品までの一貫製造プロセスの開発/高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」の成果技術

(注5)セルロース(原料パルプ)をTEMPO触媒によって酸化し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅約3nmの非常に細いCNF

(注6) セルロース(原料パルプ)をカルボキシメチル化(CM化)し、軽微な解繊によって製造したCNF。繊維幅数nm~数十nmのCNF https://www.nipponpapergroup.com/products/cnf/ 


以上