お客さまに関わる責任方針とマネジメント

生活に不可欠なさまざまな製品の新規開発、安定供給とともにお客さまの期待に応える品質を追求しています

基本的な考え方

信頼される製品・サービスを提供します

日本製紙グループは、紙および紙関連製品の供給を事業基盤とし、社会とともに発展してきました。また、フィルム、ヘルスケア製品、ケミカル製品や木材・建材など多様な事業を営んでおり、お客さまは法人から個人まで多岐にわたります。それらの生活に不可欠な製品を安定的に供給するとともに当社グループの強みを活かしてお客さまに喜ばれる製品を開発することは、社会に役立つための基本的な責任です。品質・安全性を確保し、お客さまの信頼に継続して応えていきます。

品質管理の取り組み

各製品の品質を適切に管理しています

日本製紙グループでは、品質マネジメントの国際規格であるISO9001の認証取得を各事業会社で進めているほか、それぞれの製品の特徴に合わせた品質管理を行っています。

液体用紙容器生産会社における品質監査

包材の品質・安全性に対するお客さまの要求は日々強まっています。それに即応し先取りしていくために、日本製紙(株)紙パック営業本部では、生産拠点である日本製紙リキッドパッケージプロダクト(株)3事業所を対象に、紙パック品質保証部による品質監査を随時実施しています。また3事業所での現地品質会議と品質監査をそれぞれ年1回実施し、品質管理や化学物質、微生物、異物といった食品安全に関わる重要項目の共有化や横展開による品質向上に努めています。
「クリネックス® プレミアム」

品質監査

「スコッティ®ファイン3倍巻キッチンタオル」

紙パック品質の検証

 
 

紙・板紙部門での品質保証体制

日本製紙(株)では、お客さまと生産現場との距離を縮めることを目的にサービスエンジニア(SE)制度を導入しています。紙の生産に携わる技術スタッフが、SEとして実際に紙が使用される現場である印刷・加工工程に立ち会う「品質パトロール」などを通じて、お客さまの声を直接伺っています。さらに、より密接な関係を築くため、2013年10月に品質保証体制を見直して営業部門に技術担当者を配置しました。一方、定期的に開催される品質情報会議などを通じて営業部門と技術部門との連携を図り、お客さまからの多様なニーズに迅速に応えています。

製品の不具合発生時の対応

日本製紙グループでは、出荷した製品の不具合が判明した場合、製品の種類に応じてグループ各社で独自の対応を取っています。
日本製紙(株)紙・板紙部門では営業技術担当が窓口となり、品質事故情報データベースなども活用して工場、本社関連部門と連携し、対応しています。
個人のお客さまに製品を提供する日本製紙クレシア(株)では、全ての製品にお客様相談室の連絡先を記載しているほか、お客さまのご指摘がダイレクトに社長に報告されるよう同相談室を社長直轄としています。また、ウェブサイトでもご質問やご意見を常時受け付けています。自社の製品やサービスが原因でご迷惑をおかけした場合には、誠意を持って対応し、お客さまに納得していただけるよう努めています。

製品不具合発生時の対応体制(紙・板紙部門)
製品不具合発生時の対応体制(紙・板紙部門)
お客様相談窓口での対応(日本製紙クレシア(株))

お客様相談窓口での対応(日本製紙クレシア(株))

古紙パルプ配合率および間伐材利用の保証と監査

日本製紙(株)では管理システムを確立し、お客さまに古紙パルプ配合率および間伐材利用を保証しています。工場では、環境マネジメントシステムISO14001に組み込んで生産手順の管理・見直しを実行しています。内部監査と第三者監査で運用状況を確認し、お客さまにも規定通りの配合率で生産していることをご確認いただいています。

お客さまのニーズの把握

積極的なコミュニケーションを図っています

日本製紙グループでは、日常の営業活動から技術スタッフによる品質パトロールまで、幅広くお客さまのニーズをとらえられるよう積極的にコミュニケーションを図っています。また、お客さまから原材料である木材の種類・原産国やその合法性に関する問い合わせが多くなっており、自社の取り組みと第三者による評価でご説明しています。
そのほかにも、お客さまによる工場見学や査察を積極的に受け入れ、生産現場を直接ご覧いただくことで、当社グループの取り組みについてご理解いただいています。

日本製紙(株)紙パック営業本部

お客さまである乳業・飲料会社の充填機ご担当者を対象とした技術講習会を開催し、紙パック用充填機を適切に取り扱っていただくための情報を提供するとともに、ご意見・ご要望に耳を傾け、より良い製品づくりに努めています。

日本製紙(株)パッケージング・コミュニケーションセンター

木質バイオマスをベースとしたパッケージで、豊かな暮らしへの貢献を目指します。紙製バリア素材「シールドプラス®」シリーズといったパッケージング用素材や加工技術を、コンバーター(加工業者)、製品メーカーと協同で世の中に提供するよう取り組んでいます。

日本製紙クレシア(株)

お客さまへのアンケートを通じて顧客満足度やニーズを調査し、お客さま対応の充実を図る指標として用いています。

新製品開発推進体制

開発を加速する体制を構築しています

日本製紙グループでは、事業構造転換を加速するための「新製品開発推進委員会」を設置しています。同委員会のもとに置いた新製品開発推進チームが研究テーマを発掘し、3カ月ごとに開催する委員会で審議。採用を決めたテーマに人員と予算を付けてプロジェクトを発足します。
委員会は日本製紙(株)企画本部長を委員長とし、当社の社長をはじめとする経営執行会議メンバーで構成。テーマに応じて関係会社社長や関係部門長が出席することで、事業化へのスピードを速めています。

日本製紙クレシア(株)

日本製紙クレシア(株)は、伸長著しい介護用品市場、衛生用品市場における商品開発力を強化するため、2017年4月に「ヘルスケア研究所」を設立しました。
同社は、日本製紙(株)と連携してグループの研究資産を最大限に活用します。社会のニーズを的確にとらえて商品開発を加速させ、競争力を高めることで、ヘルスケア事業の拡大を図ります。

ヘルスケア研究所

製品の安定供給

製品ごとの安定供給体制を整えています

お客さまへ必要な時に必要な量を供給できるよう、原材料の安定確保、計画的な生産設備の整備・更新により安定生産に取り組んでいます。また、営業部門と生産部門が協調して、フレキシブルで無駄のない生産計画を策定し、適切な在庫管理を行い、製品の安定供給に努めています。

自然災害リスク対応(日本製紙(株)本社・各工場)

日本製紙グループでは、過去の震災などの教訓もふまえ、自然災害リスクへの実際的な対応指針をまとめました。その指針を参考に、各工場が自然災害対策を点検しマニュアルを見直しました。
日本製紙(株)では、本社ビルの被災に備えてバックアップオフィスを設定。本社機能移転の訓練も実施しています。

緊急非常マニュアル(新聞用紙)

新聞という公共性の高い情報媒体に用いられる新聞用紙には安定供給が強く求められており、製紙業界では非常事態に備えた各社共通の緊急非常マニュアルを地区別に定めています。大規模災害などによって通信・交通網の途絶・遮断などの事態に陥った場合、このマニュアルに従って円滑な供給を維持します。

事業継続マネジメントシステム(日本製紙(株)紙パック営業本部)

日本製紙(株)紙パック営業本部は、事業継続のためのガイドラインを制定してマネジメントシステムを確立し、緊急時の生産に備えています。緊急時の優先品目の選定や主要原材料の複数メーカーからの購入を進めています。また、生産拠点を複数有することで、災害発生などのリスクを分散しています。

操業の安定化

無線センサーで異常予兆を常時監視するシステムを開発し、導入を進めています

日本製紙(株)と日本製紙ユニテック(株)は、無線センサーで機械装置の異常予兆を常時監視するシステム「e-無線巡回®」を開発しました。
紙パルプ産業は代表的な装置産業で、設備の安定稼働が安定供給や品質に直接関わります。そのため、機械装置の振動や温度をチェックして異常予兆を監視することが、メンテナンスを行う上で重要です。
従来の設備異常予兆は、人が生産現場を巡回して異常を発見する方法が中心で、巡回者の経験や勘という数値化できない技術・技能に大きく依存してきました。「e-無線巡回®」では稼働中の機械装置の「温度・振動加速度」データをIoTによって蓄積し、数値データで傾向監視ができます。異常傾向が見られた設備に適切に対処することで設備トラブルを未然に防ぎ、操業の安定化に寄与します。
現在、国内の全工場へ順次導入を進めており、グループ外への販売も積極的に展開しています。

取水に関わる水需給リスク

深刻な水需給リスクはありません

現時点では、日本製紙グループ各社の工場が取水することによって、環境影響を与えているような情報は、行政や近隣住民から受けておらず、国内における水リスクは低い状況にあります。
また、第三者による簡易的なリスク調査でも深刻な水需給リスクは指摘されていません。