海外植林について植林とは?~Tree Farm構想~

海外植林事業では、「Tree Farm構想」を揚げて活動しています。 「Tree Farm構想」では、畑で作物を育てて収穫するのと同様に、木を育てて毎年の生長量分のみを収穫し、紙の原料として利用することで、持続可能な原材料調達をめざしています。また、当社はこの構想に賛同していただける企業と共に、森林資源の拡充を推進しています。

日本製紙が海外植林事業を始めたのは1990年代初頭のこと。将来の紙需要の成長に見合う原料を確保するという目的のもと、1992年から南米チリで植栽を行ったのが始まりでした。2013年3月末の海外植林面積は約13万ヘクタールです。

植林のサイクル

植林のサイクル
  • 萌芽更新後は、STEP1・2を飛ばし、STEP3へ

当社の海外植林地では主にユーカリを植えていますが、ユーカリは植栽後約10年で製紙用として充分な大きさに生長します。伐採は計画的に行い、伐採後の土地に新しく植栽する方法や、切り株から生える芽を育てる萌芽(ぼうが)更新と呼ばれる方法で森を再生します。

国によって植林の作業方法は様々ですが、ここではオーストラリアの例を中心に紹介します。

植林のステップ

STEP01 植栽準備作業(植え付け1年目の5月頃)

雨期に入る5月頃、地面をほぐし、畝(うね、筋状の盛土)を作る耕耘作業を行います。
写真のように、マウンダーと呼ばれる器具をトラクターで牽引して、土をかき起こし、畝を作ります。
所有地内であっても、水路や原生植生のある箇所は、地域の生態系に影響を与えないよう、手をつけずに保護します。苗畑では植栽に必要な苗を、雨期の出荷に向けて計画的に育てます。

畝作り作業

畝作り作業

出荷を待つユーカリ苗

出荷を待つユーカリ苗

STEP02 植栽作業(6~8月頃)

植栽作業
植栽作業

雨期の6~8月頃(オーストラリアの冬にあたります)に植栽を行います。
プランティングチューブと呼ばれる植栽器具を使って、畝に1本1本人の手によって植え付けます。1人で1日あたり2~3千本、ベテランは6~8千本ほど植栽します。

STEP03 保守作業(植栽後~約10年間)

植栽後1年(約2.5m)
植栽後1年(約2.5m)

植栽した苗は夏の日差しを浴びてすくすく育ちます。当社が海外植林地で主に植栽するユーカリという樹種は1年間で3~4mも生長しますが、植栽直後はか弱く、雑草や色々な病虫害から保護しなければなりません。
また、夏の乾期には火災の心配もあり、様々な問題の早期発見のためにも定期的な巡回は欠かせません。

STEP04 伐採作業(植栽約10年後)

約10年で樹高が20mを超えるほどに生長した木をハーベスターと呼ばれる重機などを使って伐採します。
伐採された丸太は皮を剥いた後で、植林地やチップ工場に設置したチッパーと呼ばれる機械で製紙用チップに加工されます。

ハーベスターを使った伐採作業

ハーベスターを使った
伐採作業

木材チップ(1片約2~3cm)

木材チップ(1片約2~3cm)

STEP05 更新

通常、初めての伐採後と2度目以降の伐採後で、更新の方法が異なります。

初めての伐採後 萌芽更新

切り株から発芽した萌芽
切り株から発芽した萌芽

オーストラリアなどで当社が主に植栽しているユーカリ・グロビュラスという樹種は伐採直後の切り株から芽が生えてきます。
この芽を育てる萌芽更新と呼ばれる方法で森を再生します。

2度目以降の伐採後 再植林

植栽作業
植栽作業

通常2度目の伐採後は萌芽更新ではなく、再び植栽をすることで森を再生します。
また、1度目の伐採時に生長が良くなかった場合やアカシアのように萌芽しにくい樹種の場合も、萌芽更新を行わず、植栽により再生します。